成分値・試算データの一元管理で業務を標準化
Excelライクな操作性でスムーズなシステム移行を実現
ノーコード活用による継続的な業務改善を推進
日清丸紅飼料株式会社(以下、日清丸紅飼料)は、畜産用・水産用配合飼料の製造・販売を中心に、飼養管理サポートなどの支援を通して、日本の食を支える総合飼料メーカーです。畜産飼料事業、水産飼料事業、食料事業を展開し、自社研究所と製造拠点を活かした研究開発から製造・販売までの一貫体制を強みとしています。
今回取材をさせていただいた畜産業務部では、営業活動の企画・支援をはじめ、営業支援ツールの運用や改修、ブランド畜産物のWebサイト運営、展示会企画など幅広い業務を担当しています。
同社では、生産者が目指す畜産物や飼養環境に合わせた飼料給与の提案活動を行っています。その提案を支えているのが給与マニュアルです。営業担当者や技術担当者は、お客様ごとに飼料設計を行い、最適な給与プランを作成しています。
従来、この給与マニュアル作成業務では、営業担当者や技術担当者がExcelを用いて試算を行っていました。試算に利用する成分値は頻繁に更新される一方、Excelの更新タイミングが担当者によってバラバラであり、その結果、数値の突合作業の負荷が増加するほか、提案ノウハウや過去の試算結果を組織全体で共有・活用しづらいという問題を抱えていました。
こうした問題を解決するために同社が採用したのが、「ノーコードWebアプリ開発ツールForguncy」(以下、Forguncy)です。トーテックアメニティ株式会社(以下、トーテック)は、成分値の一元管理や業務の標準化を実現する「飼料計算ソフト」の構築を支援しました。現在では、その取り組みをきっかけに発注業務のシステム化にも活用が広がっています。
今回は、Forguncy導入の背景から、飼料計算ソフトの構築、発注業務への展開、そして今後の展望について次の方々に伺いました。
<日清丸紅飼料株式会社>(発言順)
畜産業務部 業務課 課長 田中善規 氏
情報システム部 松野晋輔 氏
畜産業務部 業務課 横川翔子 氏
<トーテックアメニティ株式会社>(発言順)
ソリューションビジネス本部 産業システム事業部 東日本営業部 課長 石井貴也
ソリューションビジネス本部 産業システム事業部 第3システム部 第2グループ 主任 平嶋壱成


日清丸紅飼料株式会社
本社:東京都中央区日本橋室町四丁目5番1号さくら室町ビル4階
設立:1957年8月1日
資本金:55億円
従業員数:600名(2026年4月現在)
事業内容:畜産用、水産用配合飼料の製造販売
日清丸紅飼料株式会社のサイトはこちら
個人管理に依存していた飼料設計業務

畜産業務部 業務課 課長 田中善規 氏
「最新データとノウハウを組織全体で共有したい」
日清丸紅飼料では、お客様ごとの飼養環境や生産目標に合わせて飼料設計を行い、その内容を給与マニュアルとして提案しています。給与マニュアルの作成では、使用する原料や給与方法、飼養環境など、お客様ごとに異なる条件を踏まえながら試算を行う必要があり、営業担当者や技術担当者がExcelを活用して作成をおこなっていました。
Excel自体は使いやすく、運用は現場に定着していましたが、運用を続ける中でいくつかの問題もありました。
問題① 成分値の確認に手間がかかる
飼料設計に利用する成分値は、飼養標準をベースに、研究で得られた知見や分析結果を反映しながら継続的に更新しています。しかし、給与マニュアル作成に使用するExcelファイルは担当者ごとに管理していたため、成分値が更新されるたびに各担当者が個別にデータを修正する必要がありました。
そのため、試算に使用する成分値が最新情報へ更新されていないケースも発生しており、使用している成分値が最新版であるかどうかを確認しなければなりませんでした。
本来であれば顧客提案や技術的な検討に時間を使いたいものの、データの整合性確認に時間が割かれていたことが大きな問題となっていたのです。
問題② ノウハウや試算結果を組織で活用できない
もう一つの問題は、過去の提案内容や試算結果、飼料設計に関するノウハウが担当者ごとに管理されていたことです。必要な情報が個人単位で保管されていたため、類似案件が発生した際にも過去の事例をすぐに参照することができず、蓄積された知見を十分に活用できていませんでした。
そのため、長年蓄積してきた飼料設計のノウハウを個人の経験に依存させるのではなく、会社全体の資産として共有・活用できる環境づくりが求められていました。
こうした問題を解決するため、社内では営業活動の効率化に向けた検討が進められていました。営業スタイルの見直しの一環として実施した社内アンケートでも、給与マニュアル作成業務の効率化が課題として挙がったことから、畜産業務部と情報システム部が連携し、改善に向けた取り組みを開始しました。
検討を進める中で見えてきたのは、「誰が作成しても同じデータを利用できること」と、「蓄積された知見を組織の資産として活用できること」の重要性でした。そこで、データの一元管理による業務標準化と効率化を実現するため、飼料計算ソフトの構築に着手しました。単なるExcelの置き換えではなく、業務改善とノウハウ継承を支える基盤づくりとして、システム化を推進することになったのです。
業務標準化と現場定着を見据えたシステム選定
「現場の業務を変えずに移行できるシステムを探していました」
システム化を検討する中で、改めて実感したのがExcelの使いやすさです。現場では長年Excelを活用しており、入力した内容がすぐに反映されることや、直感的に操作できることが当たり前になっていました。そのため、新しいシステムを導入するにあたって、業務フローや操作感を大きく変えることは避けたいと考えていました。
また、給与マニュアルの作成業務は日々の提案活動を支える重要な業務です。どれだけ機能が充実していても、利用者が使いづらさを感じてしまえば定着は難しくなります。そのため、業務の標準化を進めながらも、現場が違和感なく利用できることを重視してシステム選定を進めました。
システムの選定にあたっては、複数の製品やサービスを比較検討しましたが、実現したい機能は備えていても操作感に違和感があったり、既存業務の進め方を大きく変える必要があったりと、理想に合うものはなかなか見つかりませんでした。
そのような中で出会ったのがForguncyです。ForguncyはExcelで行っていた業務の考え方や運用を活かしたままシステム化できる点に加え、Excelに近い操作感や軽快な動作も実現できることから、現場への定着をイメージすることができました。
また、私たちはシステムを導入して終わりではなく、運用しながら業務に合わせて改善を続けていきたいと考えていました。その点、Forguncyはアプリの追加や改修にも柔軟に対応できるため、将来的な活用の広がりも期待できました。
こうした現場での使いやすさと、継続的な業務改善を支える柔軟性を評価し、Forguncyの採用を決定しました。
“Excelの良さ”を活かしたシステム構築

情報システム部 松野晋輔 氏
「要望を伝えながら業務に合ったシステムを構築できました」
飼料計算ソフトの構築では、トーテックさんと定期的に打ち合わせを行いながら開発を進めました。プロジェクト開始時に全体スケジュールを共有し、検討事項や確認事項が発生した際には、その都度相談しながら進められたため、不安を残すことなく開発を進行することができたと感じています。結果として、遅延が発生することなく、当初予定していたスケジュール通りにリリースを迎えることができました。
また、印象的だったのは開発の進め方です。完成後にまとめて確認するのではなく、テスト画面を段階的に確認しながら、「このような動きにしたい」「この機能を追加したい」といった要望を都度反映してもらえたため、完成イメージとのギャップを感じることなく開発を進めることができました。利用者目線で調整を重ねられたことが、スムーズな導入につながったと感じています。

ソリューションビジネス本部 産業システム事業部 第3システム部 第2グループ 主任 平嶋壱成
「Excelの操作感を維持できるよう工夫しました」
飼料計算ソフトの開発では、長年Excelで運用されてきた業務をWebシステムへ移行しながらも、利用者の操作性をできる限り維持することを重視しました。
特に工夫が求められたのは、業務上必要な画面制御と入力データの保持を両立する部分です。給与マニュアル作成では、入力内容に応じて項目の表示・非表示を切り替える要件がありましたが、この要件をForguncyの標準機能で実装すると、入力途中のデータが初期状態に戻ってしまうケースがありました。そこで、標準機能だけでは対応できない部分についてはデータの持ち方や処理方法を工夫しながら、できる限りこれまでの運用に近い形で利用できるよう調整を重ねました。
また、開発においては、最初にすべての仕様を決めて完成品を納品するのではなく、早い段階で画面を作成し、松野様や田中様に確認いただきながら進めることを意識しました。画面を見ながら意見を伺い、その内容を都度反映することで、認識のずれを防ぎながら開発を進めることができました。
その結果、Excelで培われた業務ノウハウを活かしつつ、現場で使いやすい飼料計算ソフトを実現できたと考えています。
成分値の一元管理で確認業務を削減
「ノウハウを組織の資産として活用できる環境へ」
飼料計算ソフトの導入後、これまで担当者ごとに分散していた成分値や試算データを一元的に管理できるようになりました。日々の業務の中でも、様々な効果を感じています。
効果① 成分値の一元管理で確認作業を削減
導入効果としてまず挙げられるのが、成分値管理の一元化です。
これまでは、各担当者がそれぞれ異なるExcelファイルを利用していたため、提案内容を確認する前に、使用されている成分値が最新かどうかを確認する必要がありました。
飼料計算ソフトの導入後は、全担当者が共通のデータを参照できるようになり、成分値の更新状況を個別に確認する手間がなくなりました。その結果、成分値の確認に費やしていた時間を削減できるようになり、提案内容の検討やお客様への支援といった本来注力すべき業務に時間を充てられるようになっています。
効果② 試算結果とノウハウを活用できる基盤へ
もう一つの大きな成果が、試算結果や提案ノウハウを組織全体で活用できるようになったことです。
以前は、過去の提案内容を参照するために担当者ごとに管理されているExcelファイルを探す必要がありましたが、現在では、システム上で過去の試算結果を確認しながら検討を進めることができます。過去の事例を活用しやすくなり、提案業務の効率化につながっています。
さらに、蓄積されたデータは若手社員の育成にも役立っています。現在は飼料計算ソフトを活用した研修を実施しており、実際の試算画面を見ながら指導を行っています。「この数値をどのように判断するのか」「この牛にはどの程度の値が適切なのか」といった考え方をその場で共有できるため、実務に近い形で知識やノウハウを身に付けられるようになりました。
このように、飼料計算ソフトの導入は、業務効率化だけでなく、ノウハウの蓄積や技術継承を支える基盤としても活用されています。

実際のアプリ活用の様子
自社開発による業務改善への取り組み

畜産業務部 業務課 横川翔子 氏
「発注業務の改善をきっかけに新しいアプリの開発へ挑戦しました」
飼料計算ソフトの運用が定着した後、Forguncyを活用した自社開発にも挑戦しました。その第一弾として取り組んだのが、発注書作成フォームの開発です。
畜産業界では、原料相場や為替、世界情勢などの影響を受け、定期的に価格改定が行われています。そのため、発注担当者は、価格改定のたびに紙やExcelで管理している見積情報を確認しながら発注書を作成していました。しかし、この運用では見積情報を探す手間が発生するだけでなく、価格確認のミスが生じるリスクもありました。
また、発注書の作成には委託先ごとに異なる価格情報の管理が必要であり、発注書には法令上記載が求められる項目もあります。そのため、担当者や拠点ごとに運用方法が異なると、入力ミスや記載漏れが発生する可能性があり、業務品質を維持するためにも業務の標準化が求められていました。
そこで取り組んだのが、見積価格を一元管理し、その情報をもとに発注書を作成できる仕組みづくりです。業務の効率化だけでなく、発注業務を統一したルールで運用できる環境づくりも目的の一つとして進めていきました。
「初めてのアプリ開発もサポートを受けながら形にできました」
開発にあたっては、Forguncyの学習コンテンツや公開されているQ&Aを活用しながら知識を習得していきました。開発を進める中では、想定どおりに実装できない場面もありましたが、その都度トーテックさんへ相談しながら改善を重ね、運用開始まで実現することができました。
実際に完成した発注書作成フォームでは、見積価格を一元管理し、その情報を自動的に反映した発注書を作成できるようになりました。利用者からの評価も高く、発注業務の効率化と運用ルールの統一につながっています。

Forguncyでのアプリ作成の様子
「業務改善のアイデアを形にしやすいツールだと思います」
今回、Forguncyでの飼料計算ソフトの構築をきっかけに、発注書作成フォームの開発にも取り組むことができました。もともとシステム開発の経験があったわけではありませんが、トーテックさんのサポートを受けながら実際にアプリを作っていく中で、「自分たちでも業務に合わせた仕組みを作れる」という手ごたえを感じています。
業務を行う中で、「もっとこうできたら便利なのに」と感じる場面は少なくありません。Forguncyは、そうしたアイデアを形にしやすいツールだと感じています。まずは一つの業務から始めることで、新たな改善の可能性も見えてくるのではないでしょうか。
Forguncy活用のさらなる広がりへ

畜産業務部 業務課 課長 田中善規 氏
「Forguncy活用のさらなる拡大を目指したい」
私たちは、今回の取り組みを単なる業務効率化とは捉えていません。今回の取り組みはゴールではなく、次のステップへ進むための土台づくりだと考えています。まずはデータを一元管理し、誰もが同じ情報を活用できる状態をつくること。その基盤が整うことで、今後のさらなる業務改善にも取り組んでいけるのではないかと期待しています。
現在は飼料計算ソフトや発注書作成フォームの活用を進めていますが、今後はさらに活用範囲を広げながら、業務改善やデータ活用につなげていきたいです。

ソリューションビジネス本部 産業システム事業部 東日本営業部 課長 石井貴也
「成功体験を積み重ねながら、活用の輪を広げてほしいです」
今回の取り組みを通じて、飼料計算ソフトだけでなく、発注書作成フォームの開発にも活用が広がり、業務改善の効果を実感いただけていることを大変うれしく思います。
業務改善は、一度に大きな変革を目指すのではなく、小さな成功体験を積み重ねていくことが重要です。実際に効果を実感することで、「自分たちの業務でも活用できるのではないか」という気づきが生まれ、活用の輪は自然と広がっていきます。
今後は、現在ご利用いただいている部署だけでなく、他の部署や業務にも展開いただくことで、さらなる業務効率化や情報活用の促進につながることを期待しています。
Forguncyは、現場の業務に寄り添いながら、段階的に改善を進めていけるノーコードのWebアプリ開発ツールです。これからも、お客様の業務課題の解決や新たな取り組みの実現に向けて、継続的にご支援してまいります。

ソリューションビジネス本部 産業システム事業部 第3システム部 第2グループ 主任 平嶋壱成
「困ったときに気軽に相談いただける存在としてご支援していきたいです」
今後も運用していく中で、「こういうことはできないか」「この機能を改善したい」といったことが出てくると思います。Forguncyに関することであれば、どんな些細なことでも気軽にご相談いただければと思います。
これからも日清丸紅飼料様の業務改善をサポートできるよう、継続してご支援していきたいと考えています。
取材日:2026年7月10日
記載の担当部署は、取材時の組織名です。





