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導入事例「宇部エクシモ株式会社様」

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現場が動く「見える化」と運用設計
——DXを“自律改善”へ接続したデータ基盤づくり

1.現場が“見える”と工場は変わる―― 宇部エクシモが挑んだDXの裏側
2.電力・暑熱・IoT――バラバラだった“現場の声”をつなぐ可視化プロジェクトの全貌
3.属人化とExcelから卒業―― 現場が自律するデータ活用へのロードマップ

宇部エクシモ株式会社(以下、宇部エクシモ)は、50年以上にわたり培ってきた樹脂加工技術を基盤に、独自のアイデアと先進技術で新たな市場を切り拓く研究開発型企業です。
同社では、全社的なDX推進を経営戦略の柱とし、製造・管理・販売の三つの領域でデータ活用の高度化に取り組んでいます。

これまでは、電力情報、暑熱情報、IoT情報は、担当者がそれぞれの現場で個別に確認し、Excelで加工しながら運用していました。電力情報は“動力室に行かなければわからない”、暑熱情報は”現場まで行ってWBGT計の目視読みと記録”、IoT情報は”データがバラバラで統合ができない”といった状況が続き、リアルタイムに状況を把握することが難しいという課題がありました。
その結果、重要な変化に気づくまでに時間がかかり、現場対応が後手に回るリスクを常に抱えていたと言います。

これらの課題を解決するために、今回取材をさせていただいた経営管理本部 情報システム部では、「エネルギーコストの可視化」「安全管理の強化」「品質の安定化」という3つのテーマを選定し、工場電力の見える化、WBGT(暑さ指数)の見える化、研究棟から工場のIoT監視、IoTによる品質の安定化に着手しました。まずはデータ連携の基盤となる「ノーコードデータ連携ツール ASTERIA Warp」(以下、ASTERIA Warp)を用いて各種データを整備し、「BIツール MotionBoard」(以下、MotionBoard)でリアルタイムな可視化を実現することで、情報の即時性と標準化を図りました。

トーテックアメニティ株式会社(以下、トーテック)は、これらの可視化・連携基盤の構築パートナーとして ASTERIA Warp と MotionBoard の設計・構築支援を担当。分散していた電力情報、暑熱情報、IoT情報をつなぎ、現場で“使える”形に落とし込むため、データ加工ロジックの設計からダッシュボードの表現方法まで細かな調整を重ねました。今回の取材では、同社がどのように課題を見極め、どのようにして“現場が使い続けるデータ活用”を実現していったのかについて、次の皆様にお話を伺いました。

<宇部エクシモ株式会社>(発言順)
経営管理本部 情報システム部 情報システム課 課長 櫻井 氏
経営管理本部 情報システム部 情報システム課 主任部員 中島 氏
経営管理本部 情報システム部 情報システム課 主任部員 箕浦 氏
経営管理本部 情報システム部 情報システム課 田中 氏
経営管理本部 情報システム部 情報システム課 今井 氏
経営管理本部 情報システム部 情報システム課 宮本 氏

<トーテックアメニティ株式会社>
産業システム事業部 中日本営業部 第1グループ 石川 諒
産業システム事業部 第1システム部 第2グループ 課長 河端 芳樹

東京本社:〒103-0006東京都中央区日本橋富沢町9-19
設立:1966年2月22日
資本金:24億9250万円
従業員数:357名(2025年3月31日現在)
事業内容:樹脂製品、合成繊維、複合材料、ファインセラミックスの製造、加工、販売

宇部エクシモ株式会社のサイトはこちら

5つのコア技術が生み出す“唯一無二”の素材開発力

宇部エクシモは、光通信、自動車、電子部品、農業・建築といった多様な産業領域へ、機能性素材や複合材料を提供しており、長年培ってきた 押出成形・紡糸・引抜成形・ゾル–ゲル・ラミネートといった5つのコア技術を自在に組み合わせ、オンリーワンの製品創出を可能にしています。
「熱意と技術で“いいな”を形に」をモットーに、研究開発から製品化までの一連のプロセスを徹底して磨き上げ、社会のニーズに応える新素材の開発に挑み続けています。
さらに、近年は、成長が加速する半導体分野や次世代モビリティ市場への展開を強化するとともに、環境負荷低減素材の開発を加速し、カーボンニュートラル社会の実現に寄与する製品群を拡大しています。幅広い産業を支えながら、社会ニーズの先を読み、新たな可能性を切り拓いていく宇部エクシモは、素材の力で“未来の当たり前”をつくる企業として進化を続けています。


現場判断を標準化するデジタル基盤づくり

経営管理本部 情報システム部 情報システム課 主任部員 中島 氏

「リアルタイムデータを軸にした現場改善の新しいサイクルへ」

会社全体では、DX推進プロジェクトのもと、トップダウンで20以上のテーマを設定し、それに基づき現場改善を全社的に進めてきました。
情報システム部は全社横断で各テーマに関与し、技術面でのサポートを中心に推進をリードしてきました。
その中でも、ASTERIA WarpとMotionBoardを活用した取り組みとして、電力使用量の可視化、WBGT(暑さ指数)の見える化、品質安定化に向けたIoTデータ活用が挙げられます。
これらの取り組み以前は、重要なデータが各所に分散し、現場に行かなければ状況を把握できないケースも多くありましたが、ASTERIA WarpとMotionBoardによるデータ基盤の整備により、情報の統合的な可視化が可能となりました。これにより、担当者の経験や個別判断に依存していた業務が標準化され、日々の判断精度の向上につながっています。


アナログ運用からの脱却に向けた3つの取り組み

① 電力ピーク可視化の仕組み ―― 苦労の末に構築したリアルタイム監視基盤

この背景のもとに、まず取り組まれたのが「工場全体の電力ピークの可視化」です。

経営管理本部 情報システム部 情報システム課 今井 氏

従来は、工場敷地の端にある動力室に設置された監視用PCでしか電力データが分からないうえ、Excelでの手作業による集計が続いていました。また、リアルタイムで電力量を見ることができなかったため、工場の安定的な稼働において重要な指標である電力ピークの変動も把握しづらく、現場への指示が遅れることもありました。そのような問題の解決方法として、現場で取得した電力データをゲートウェイ経由で収集し、ASTERIA Warpにて自動整形して MotionBoard で可視化することで、工場全体の電力状況をどこからでも把握できるようになりました。
ただ、PLCが特殊なためデータ接続の段階から取得まで非常に苦労しまして、そこからMotionBoardでの表現の部分も細かな要件が必要となり、実現までは試行錯誤の日々でした。

具体的には、電力量の積算における合成処理や表示形式などに苦戦し、SEの方に無茶ぶりをしたこともあったぐらい、限界に近いところまでMotionBoardの活用を模索しており、当初は「本当に実現できるのか」という不安もありました。

ですが、今回のシステム導入により、自席からリアルタイムに電力状況を確認できるようになり、Excelの抽出・加工作業も不要になりました。また、前年度との比較やピーク分析が簡単にできるようになりましたので、電力ピーク時の予測が容易になり、“事前に工場全体の設備稼働を少し控える“、“空調設定を調整して節電する“といった早期の現場判断ができるようになりました。

―――――――――――   実際の電力監視の様子   ――――――――――――


担当SE:産業システム事業部 第1システム部 第2グループ 課長 河端 芳樹

お客様の見える化のご要件を実現するためには、データの持ち方や形式、軸などを変える必要がありましたが、従来のMotionBoardの設定だけでは実現が難しい部分もあり、別のアプローチが必要でした。そこで、技術的な観点からSQLサーバーで前処理を行い、ASTERIA Warpとの連携で再設計する形をご提案させていただいたところ、実現につなげることができました。

② WBGT(熱中症指数)可視化の仕組み ―― 試行錯誤で実現した暑熱リスク管理

「『隠れた苦労』はたくさんありましたが、何とか表現することができた。」

経営管理本部 情報システム部 情報システム課 主任部員 箕浦 氏

はじめに岐阜、福島の2工場を可視化できるようにするため、各製造課長より温度センサーを建屋毎に4か所ピックアップしてもらいました。
ただデータをすぐ繋げられるというわけではなく、まず設置した市販センサーの精度検証から行ったところ、センサーの種類ごとで数値が変動していたため、誤差分の編集も合わせて必要となりました。そのためテキストデータとして流れてきた複数のCSVファイルをASTERIA Warpで誤差分を加工したうえで、温度センサーと湿度からWBGT(熱中症指数)を算出する計算式をいれ、SQLサーバーのデータへと変換する方法で、工場の見取り図に各箇所の状況を視覚化することができました。

誤差の補正部分では、計算式が非常に多くある中でどの計算式を使うかも苦労しましたが、知見のある技術部と協力しながらフィットする方程式を編み出しました。そこからはMotionBoardの出番で、1個1個の温度を表示するためのデータソースを定義していきました。

「他工場の様子が休憩室でも確認でき、迅速な気づきが生まれています」

経営管理本部 情報システム部 情報システム課 田中 氏

これまで、作業員が現場へ赴いて手作業で記録する必要がありましたが、社内でも“すぐに見えるようになった”という点で反響はあり、担当者の移動時間削減はもちろん、特に上司や管理職側でも職場の現状を全体で俯瞰して把握できるようになったため、作業計画の意思決定にも使われています。“安全がすべてを優先する”という全社方針のもと、今後はもう一段先の施策として、WBGTの閾値を超えた際に現場の方にも分かるようにパトライトやブザーなどでアラートを鳴らし注意喚起するなど、現場での安全管理の強化にも繋げていきたいと考えています。

自工場で気温が高い部分や、他工場との温度差など、これまで見えていなかった部分が見えるようになり、かつ一目で把握できるので、「うちの職場の方が明らかに暑いので、次年度の熱中症対策を強化してほしい」といった改善要望にもつながっています。

――――――――――――実際のMotionBoardの活用の様子―――――――――――

③ 品質データ可視化の仕組み ―― 設備データの癖と向き合いながら作り上げた品質監視

経営管理本部 情報システム部 情報システム課 課長 櫻井 氏

IoT関連の取り組みは大きく2つあり、一つは研究所の試作系列の監視、もう一つは特定製品の監視と品質向上です。
研究所の試作系列監視では、従来は1日に4~5回、離れた工場現場へ足を運んでいましたが、MotionBoardで監視できるようになってからは、空いた時間を別の業務に充てられるようになりました。また、MotionBoard上での分析や集計結果をそのまま活用できるため、レポート作成の負担も軽減されました。

特定製品の領域では、長年トラブル原因の特定に課題を抱えており、複数の要因が影響していることまでは把握できていたものの、明確な要因特定には至っていませんでした。そこで、IoTデータを活用することで原因の特定ができないかを検討しました。
しかし、データの取得間隔が0.2秒、1秒、60秒と異なっており、Excelで個別にグラフ化することは可能でも、全体を通した俯瞰的な分析は困難でした。
そこで、SQLとASTERIA Warpを組み合わせてデータの時間軸を統一し、さらにMotionBoardで200点以上のセンサーを対象とした分析ボードを構築することで、解析が可能な環境を整備しました。
また、現場にはリアルタイムのグラフと監視カメラを連携させ、MotionBoardの機能により、特定時刻のデータと映像を同期して確認できる仕組みを構築しました。これにより、トラブル発生時の状況をより正確に把握することが可能となりました。
データの整備は進みましたが、要因の特定は容易ではなく、LLM(Large Language Model)を含むAIを活用した解析も試みました。しかし、一般的な相関関係は把握できるものの、決定的な要因の特定には至りませんでした。
その後、MotionBoard上で長期トレンドを分析する中で、特定の複数の周期的な変動が警報情報と関連していることが判明し、長年課題となっていたトラブル要因の一端を特定するに至りました。
現在は、その要因となる設備や運用の見直しを進めています。長年解決できなかった課題に対しても、データ活用により原因を見出せることが確認でき、品質向上に大きく寄与する成果となりました

――――――――――――実際のMotionBoardの活用の様子――――――――――――


これからは見えていなかった部分の“さらなる可視化へ”チャレンジ!

従来はExcelに頼りながらだったが、次のステップとしては、MotionBoardとASTERIA Warpを活用して新たな分析を増やし、さらに見える化していく予定です。
近いうちに研究所や工場の見える化をさらに推進して土台を作っていければと考えています。それにより、もっと細かくデータを取ることで、今まで見えていなかった細かい原価分析などにもつなげていきたいと思います。そして、他拠点の現場や他事業部でもこうした活動を広め、活用を広げていければと思っています。

今後、データ活用や見える化を検討されている方、ツール導入に迷っている方に向けたアドバイスがありましたら、お聞かせください。

経営管理本部 情報システム部 情報システム課 課長 中島 氏

「全員でDXを推進してきました」

弊社の場合はトップダウンからのスタートではありましたが、社内で冒頭のプロジェクトを立ち上げ20以上のテーマを検討しました。各種テーマに対して役員が実行リーダーを選任し、技術サポートは情報システム部がすべて担当する。といったように、まずはしっかりと体制を整えるところからはじめて、方向性を決めたうえで各種ツールを選定していくことが大事かと思います。本当の現場の生の声が反映されているかはまた別問題ですが、そこは進めていきながらすり合わせる形もひとつかと。

経営管理本部 情報システム部 情報システム課 宮本 氏

「リリースしてからが本番。当初の理想とは異なっていても、現場の状況に応じて大胆に変えてみたりするのも一つ。」

デジタル推進の中でも、現在は品質データとトラブルデータなどを組み合わせて分析できるものを、現場と対話しながら開発しています。
そもそも現場の方々は「どんな分析をしたらいいのか?」といったデジタル化した際のイメージがついていないことが多いので、現場で使っているレイアウトとなるべく同じにしてスムーズに現場に馴染むものを、情報システム部から「こういうものほしいですよね?」と提案型で進めています。現場の理解を得ながら、作りこみすぎず、触りやすいもので進めていくことで、活用促進につながり、スパイラル的に落とし込んでいくことができると思います。
実際作成したものの大半は現在も活用につながっていますし、現場の声が無い場合でも、利用状況は管理者側からも確認できるので、「こういう画面が使われているんだ」、「この機能避けているな、使いづらいか」といった気づきにも繋げることができます。


トーテック伴走者の声

産業システム事業部 中日本営業部 石川 諒

「今後も引き続きご支援いたします!」

AI活用に向けてのお話もありましたが、今後のお取り組みのきっかけとなるような最新の情報や事例を都度お届けし、今後も改善に繋げていただけるよう貴社の製造DXをご支援させていただきます。

担当SE:産業システム事業部 第1システム部 第2グループ 課長 河端 芳樹

「お困りの際はぜひお声がけください!」

事前に質問に対して資料を送付いただく等、多々ご協力いただき、弊社としてもスムーズにご支援させていただいております。引き続き良好な関係を築いていければと思っておりますので、ぜひ何かございましたらお声がけをいただければと思います。

取材日:2026年2月10日
記載の担当部署は、取材時の組織名です。

※ASTERIA Warpはアステリア株式会社の登録商標です。
※MotionBoardはウイングアーク1st株式会社の登録商標です。
※ExcelはMicrosoft Corporationの国際登録商標です。(国際登録1107046)  

お困りごとがありましたら、お気軽にお問い合わせください。