製造現場のボトルネックになっていた紙帳票からの脱却!
i-Reporterで品質管理の標準化とヒューマンエラー削減を実現
・110種類を超える紙・Excel帳票と運用の見直し
・OCR読取結果とマスタ情報の自動判定機能で品質確認を効率化。
食品製造現場のペーパーレス化と品質DXの第一歩を推進
株式会社さんわコーポレーション(以下、さんわコーポレーション)は、「三和の純鶏名古屋コーチン」をはじめとした鶏肉加工品の製造・卸販売を中核に事業を展開する食品メーカーです。
愛知県海部郡大治町にある本社プロセスセンターでは、「さんわの手羽煮」「さんわの手羽唐」をはじめとした商品の製造を担い、最小単位では約180SKUに及ぶ商品を扱われており、その品質を維持するために数多くの品質記録や製造記録を管理しています。

本社プロセスセンターでは長年にわたり紙帳票とExcelを用いた品質管理を行っていましたが、記入漏れやチェック漏れ、確認工数の増大が課題となっていました。
そこで同社は株式会社シムトップスが提供する電子帳票システム「i-Reporter」を導入。
トーテックアメニティ株式会社(以下、トーテック)は、i-Reporterの構築パートナーとして、業務改善支援とあわせて、品質管理業務の効率化と標準化、ヒューマンエラー削減の実現を支援しました。
今回はi-Reporter導入の背景や効果、今後の展望についてお話を伺いました。
<株式会社さんわコーポレーション>(発言順)
商品本部 本社プロセスセンター 福島一平氏
商品本部 本社プロセスセンター 統括 立花義和氏
商品本部 本社プロセスセンター 本多真矢氏
<トーテックアメニティ株式会社>(発言順)
ソリューションビジネス本部 産業システム事業部 第1システム部 第2グループ 上席リーダー 横井 勝敏
ソリューションビジネス本部 産業システム事業部 中日本営業部 安積 賢人


株式会社さんわコーポレーション
本社:愛知県海部郡大治町西條附田106-3
設立:昭和30年(1955年)6月4日
資本金:9,800万円(グループ:5億3,050万円)
従業員数:180名
売上高:174億円(グループ売上)
事業内容:三和の純鶏名古屋コーチンを主体とした 鶏肉加工品の製造・卸販売業務
株式会社さんわコーポレーションのサイトはこちら
現場改善活動の中で見えてきた帳票業務の課題
本社プロセスセンターでは、日頃から現場改善活動を積極的に推進されています。
手羽唐をはじめとする鶏肉加工品の製造工程を中心に、製造現場の業務改善を担当する福島様は、作業者が意見を出しやすい環境づくりを大切にしていると話します。
そうした中で、現場からは以下のような帳票運用についての課題が上がってくるようになったと言います。

商品本部 本社プロセスセンター 福島一平氏
「現場から上がってきたのは、品質記録や機械設定確認など、日常的に使用している帳票に関する悩みでした」
当時運用していた帳票は全部で110~120種類。
品質記録帳票を中心に、多くの帳票が紙やExcelベースで管理されていました。
記録の流れとしては、
- 現場作業者が紙へ記入
- 現場リーダーが確認
- 品質管理部門が確認
というフローで運用していました。
品質を守るためには必要不可欠な仕組みでしたが、多品種製造を行う同社においては、帳票管理そのものが大きな業務負担となり始めていました。
また、アイテム数が多いことから、当時の帳票は、商品ごとに記入欄や帳票の種類が細かく分かれていました。
実際は1つの商品や工程で、帳票内に記入する箇所は一部だけという帳票も少なくありませんでしたが、品質を守るためには記入した箇所だけでなく、すべての確認項目をチェックする必要があります。
立花様は当時の状況を次のように振り返ります。

商品本部 本社プロセスセンター 統括 立花義和氏
「人による作業が問題で、書き漏れや基準値のチェックが現場の負担になっていました」
記入漏れがないか、基準値から外れていないか、賞味期限やラベル情報に間違いがないか。
こうした確認作業はすべて人の目で行われていました。
特に食品製造では、品質記録に誤りがあると大きな影響につながります。
例えば賞味期限が、正しくは「2027年」、実際の記入は「2026年」となっていて、そのまま現場担当者が気づかず次のフローに回してしまった場合、商品自体に問題がなくても、品質管理部門から見ると基準逸脱となります。
その結果、
- 商品の隔離
- 帳票確認
- 再検査
といった対応が必要になってしまうため、本当は問題がなくても、一つの入力ミスで大きな時間ロスになってしまいます。
食品製造において品質管理は最優先事項だからこそ、帳票の正確性が非常に重要なのですが、品質を守るための紙帳票の仕組みが、結果として現場や品質管理担当者の負担を増やしていました。
実際、i-Reporter導入前の紙帳票には、
- 作業開始時間
- 作業終了時間
- 賞味期限
- 製品コード
- ラベル情報
- 作業実績
などを記録されていました。
作業時刻の記入後は、作業時間を人手で計算し、帳票にコードや賞味期限を記入した後は、商品ラベルと照らし合わせて、その一文字一文字にレ点をつけながら確認し、ダブルチェックするという作業を人が実施していました。
記入して、計算して、確認して、再確認するという作業を全て人が日常的に行うため、そのような運用ではレ点を打つことが仕事になってしまい、ダブルチェックしてもなおミスが発生してしまう状況にあったと言います。
また、帳票1枚あたりの記入・確認時間は10~15分。確認帳票だけでも1日6種類程度使用していたため、単純計算で1日1時間。帳票作業だけで相当な工数が発生していました。
品質向上の裏で増えていった現場負担
そんな中、さんわコーポレーションでは現場の品質意識向上活動が進み、クレーム件数も減少していました。
しかしその一方で、品質管理を維持するための帳票の記入や確認作業が徐々に大きな負担となっていました。

商品本部 本社プロセスセンター 統括 立花義和氏
「気付けば帳票を書くことが目的になり、帳票が品質維持のボトルネックになっていました」
近年、現場の品質への意識も向上し、クレームも減ってきていました。
しかし、1日に6種類程の紙帳票への記入やチェックに時間がかかり、帳票自体も細かくて見にくいため、記入する現場担当者もチェックするリーダーも帳票の運用自体が大きな負担となっていました。
現場の品質への意識が向上してきたタイミングにもかかわらず、このような帳票運用そのものがボトルネックになっていることが明確になっていました。
このような状況を受け、さんわコーポレーションは現場の帳票記入や確認の業務改善を目的に現場帳票のシステム化検討を進めていきます。
。
「今の帳票を活かしたい」から始まったi-Reporterでの帳票電子化
さんわコーポレーションは、上記のような状況から脱却すべく、電子帳票の導入を決めました。
電子帳票システムの選定にあたっては、i-Reporter以外にも複数製品を比較して選定を進めたと言います。
立花様は当時をこう振り返ります。
「既存帳票をそのまま電子化できる点が最大のメリットでした」
帳票電子化の検討を進めるうえでは、他にも2製品ほどツールを比較しました。
ただ、他製品は標準化を重視した仕組みで、多品種製造を行う当社の運用には合わせづらい部分がありました。商品ごとに細かな違いが存在する食品製造現場では、画一的な帳票設計では対応が難しいケースがあります。
その点、i-Reporterは既存のExcel帳票をベースに電子化できるため、現場の運用を大きく変えることなく導入できます。今使っているExcel帳票をそのまま活かせることが大きな決め手でした。

i-Reporterでの帳票構築を進められた本多様は、このように振り返ります。

商品本部 本社プロセスセンター 本多真矢氏
「単なる帳票構築ではなく、業務改善を起点にした提案が嬉しかったです」
導入プロジェクトでは、「現場が慣れ親しんだ帳票は変えたくない」という要望と、「帳票数を減らしたい」という2軸の要望がありました。
一見すると相反する要件ですが、トーテックさんに業務改善の視点から業務や運用の整理をいただくことで、どちらの要望も叶えることができました。
これまでは、商品によって賞味期限の扱いなどが違うために帳票を分ける必要がありました。しかし、汎用的に使えるように、データをマスタ化し、計算によって帳票上にデータを持ってこられるようなかたちにすることで、帳票を簡素化することができました。
商品ごとに異なっていた運用を可能な限り共通化することで、同じ様な見た目の帳票を減らし、帳票数の削減を実現しました。
ノウハウを駆使して、要望を実現いただけたことはもちろん助かりましたが、紙を電子帳票に単純移行するだけではなく、業務や運用そのものを整理しながら提案してくれたことが非常に良かったです。
トーテックアメニティが実現した仕組み
今回のプロジェクトでは、i-Reporter標準機能だけでは実現が難しい要件も存在していました。
そこでトーテックアメニティでは様々な仕組みを組み合わせながら対応を進めました。
トーテック担当SEコメント

ソリューションビジネス本部 産業システム事業部
第1システム部 第2グループ 上席リーダー 横井 勝敏
「単なる帳票構築だけでなく、整理した業務や運用に合わせた帳票設計サポートを」
これまでさんわコーポレーションさんで使われていた帳票は、Excelで凝った仕組みが作られていました。
そのため、i-Reporterで電子化する際には、これまでの業務を回していくためにも、既存のExcel帳票に備わっていた機能が求められていました。
ただ、i-Reporterの標準機能だけでは実現できないものも多くありましたので、その点はこれまでのノウハウの活用や新たな機能開発で、お客様の運用に合わせた仕組みを実現いたしました。
お客様の「実現したい」を形にするため、標準機能にとらわれず様々なアプローチで課題解決を目指しました。
一例
・タブレットのOCR機能を利用した賞味期限読取と自動判定
賞味期限の手入力ミスをゼロにするため、OCR機能で読み取った賞味期限を帳票に入力し、その結果とマスタ情報をi-Reporterで自動判定する機能
・データ容量軽減の為、帳票に表示した写真を保存時には削除して保存する仕組み
実際の商品と照らし合わせてチェックするために帳票に表示させた写真を、帳票保存時に確実に削除してから保存させるための機能
・i-Reporterのデータを活用した記録表の出力
本来であればデータを抜き出しての手集計やBIツール連携が必要な記録表の出力を、Excelマクロとの連携で、データを張り付けるだけで定型帳票を作成できる仕組み
i-Reporter導入で得られた品質管理業務の改善効果
i-Reporter導入により、導入対象帳票においては、ヒューマンエラーが発生し得る作業そのものを廃止・仕組み化することができました。
- 帳票内の自動計算化により、人手による計算作業を廃止(計算ロジック起因のミスが構造的に発生しない運用へ移行)
- ラベル撮影+マスタとの自動判定により、貼付漏れや誤貼付を現場でリアルタイムに検知できる運用を実現(人の目視ダブルチェックに依存しないチェック体制へ移行

i-Reporter導入後の効果を振り返り、「箱詰め工程では特に大きな変化があった」と福島様は振り返ります。

商品本部 本社プロセスセンター 福島一平氏
「導入当初の現場不安も乗り越え、導入前の想像よりもはるかに業務が楽になっています。」
従来は、1日6,7枚の帳票記録が必要でしたが、i-Reporter導入後は1台のタブレットで完結できるという事がまず大きなメリットでした。
i-Reporter導入によってペーパーレス化されたのはもちろんのこと、賞味期限等の入力に関しても、OCR機能を活用したタブレットでのラベル読み取り入力に変わりました。手書きが無くなり、OCR読取結果とマスタ情報の自動判定によって、入力ミスを検知・排除できる仕組みに変わりました。
また、一文字ずつにレ点を打っていた確認作業も、i-Reporterが○×で判定してくれたものを見るだけ。になりました。問題があれば保存ができないようになっているためとても早く、楽に、正確に業務を回すことができています。
さらに、ラベルを撮影することで貼付状況も確認できるため、貼り忘れ防止にもつながっています。
i-Reporterにはラベルの使用枚数や残数が表示されるため、枚数にズレがあれば、リアルタイムにすぐにその場で気づくことができます。
人のチェックだとどうしても流れ作業になりますが、i-Reporterは見逃さず警告してくれるので助かっていますし、精神的にも楽になり安心感が全然違います。
導入当初は現場で不安の声も上がり、特に年配のパート従業員からは、触る前から、「難しそうだからできない」という反応もありましたが、実際に使用してもらうと、「思ったより簡単だった」という声に変わっていきました。
i-Reporterの活用浸透に関しては、検討メンバーである私たちから現場リーダーへ、現場リーダーから担当リーダーへ、そこからメンバーへと、社員同士で教育し合って裾野を広げ、現在では外国人実習生も併せた全員が日常的に利用しています。


これからはデータ活用のステージへ

商品本部 本社プロセスセンター 統括 立花義和氏
現在電子化できている帳票は全体の40%ほどです。
今後はトーテックからの支援の中で得たノウハウを活かしつつ、さらに対象範囲を拡大していく予定です。
また、今後は、i-Reporterに蓄積されたデータ(品質記録、作業時間、OCR判定結果 等)を活用し、
- トレーサビリティの確保
- 品質分析
- 生産性分析
- 異常分析
といったデータ活用にも段階的に取り組んでいきたいと考えています。
将来的には歩留まり改善や現場改善サイクルの高度化など、品質と生産性の両面で意思決定に活かせる仕組みを目指していきます。
さらにその先は、帳票電子化だけでなく、さんわグループ全体を通して、製造現場のデジタル化を推進し、さらなる品質向上と生産性向上を目指していきます。全社展開にあたっては、デジタル本部とも連携しながら進めていく予定です。
営業担当からのコメント

ソリューションビジネス本部 産業システム事業部 中日本営業部 安積 賢人
「帳票電子化に留まらず、更なる発展に繋がるDXをサポートいたします!」
今回は、電子帳票化そのものではなく、「品質を維持しながら業務を効率化すること」をゴールとして支援させていただきました。
今後は帳票電子化の拡大に加え、蓄積されたデータを活用した品質分析や生産性向上にも取り組んでいけるよう支援してまいります。
製造現場のDXパートナーとして、株式会社さんわコーポレーション様のさらなる発展に貢献できるよう、引き続き伴走してまいります。
取材日:2026年8月28日
記載の担当部署は、取材時の組織名です。
※ExcelはMicrosoft Corporationの国際登録商標です。(国際登録1107046)
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