連載テーマ 「SCMシステムの導入で失敗しないためには」
- SCM導入の分岐点:カスタマイズ型かSaaS型か?
- 理想のSCMシステム導入を実現するための5つのステップ|失敗しない進め方と成功ポイント
- SCM導入時につまずきやすいポイントとスマートな解決法
前回の記事「Vol.2 理想のSCM運用を実現するための導入ステップ」では、SCM導入を検討する際に、どのような手順で検討を進めればよいのか、その全体像についてご紹介しました。
今回はそのステップを実行していく中で、多くの場合に直面する「つまずきやすいポイント」に焦点を当て、
- なぜその問題が起きやすいのか
- 事前にどのような対策が取れるのか
- 実際に発生してしまった場合、どのように解決していくべきか
といった観点から説明していきます。
SCM(サプライチェーンマネジメント)は、生産・販売・在庫・物流といった複数の業務領域を横断する仕組みであるため、導入時に発生する課題も決して一様ではありません。
また、SCM導入は導入部門単独で完結するものではなく、メーカーやSIerなど、SCM領域に精通した外部パートナーと並走しながら進めるケースが一般的です。
そうした中で、「どこでつまずきやすいのか」を事前に理解しておくこと自体が、SCM導入成功の大きな一歩になります。本ブログが、その一助となれば幸いです。
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SCM導入時に起こりやすい問題
多くの製造業様をご支援する中で、SCM導入の障壁となりやすい点を整理すると、主に以下のような内容に集約されます。
- SCM導入のメリット・成果を測れず、社内に訴求できない
- 対象品目・対部署の決め方がわからない
- 現在のワークフローへのSCMの組み込み方が分からない
- 現在使用中のシステムデータをどう活用するのかわからない
- 継続的な利用を促進するための施策がわからない
以下、それぞれについて詳しくご説明させていただきます。
SCM導入メリット・成果を測れず、社内に訴求できない
SCM導入の検討を実施する場合に、
「この投資は本当に妥当なのか?」
「導入後、どのくらい効果が出るのか説明できない」
といった悩みを持たれるケースは非常に多いです。
社内稟議や経営層への説明では、費用対効果をできるだけ定量的に示すことが求められます。その中で、SCM導入後の業務変化を具体的にイメージできず、判断材料が不足してしまうことも少なくありません。
このような場合に重要なのは、まず「現状の可視化」を行うことです。
在庫過多・欠品、手作業による調整工数など、現在の業務における課題を整理し、その改善余地を明確にします。そのうえで、
- その改善の必要性が高い特定部署
- 限定した品目
- 期間を区切ったスモールスタート
といった形で、小規模な導入や試験運用(PoC)を行い、効果を確認する方法も有効です。
こうした段階的な導入を前提としたSCMソリューション導入プランも増えており、初期投資を抑えつつ検証を進めることが可能になっています。
また、検討段階から他部署との連携が不可欠になるケースが多いので、社内から十分なニーズが見込めない場合は、全社導入のタイミングが早すぎるという可能性もあります。導入が必要であるのかも含めて検討することが必要です。

対象品目・部署の決め方がわからない
SCM導入を全社的に検討する際、同時に全商品、全部署に対して導入するという場合も0ではないですが、多くはありません。
具体的には、企業全体でのSCM投入についてはハードルが高く、金額的にも難しいという場合がございます。そのため、一部の投入による効果確認が必要な際に、どの部署を対象とするのかの選定が必要です。
現在のワークフローへのSCMの組み込み方が分からない
既存業務への影響を最小限に抑えたい、という声もよくお聞きします。業務フローの変更は、関係部門との調整や影響確認が必要になるため、慎重にならざるを得ません。
この課題に対しては、SCMシステムが担う業務範囲を整理し、SCMの立ち位置を明確にすることがとても重要です。
実際に業務を担当している現場担当者へのヒアリングを行うことで、現場担当者とともに現実的な運用イメージを描くこともできます。
現在使用中のシステムデータをどう活用するのかわからない
SCMは社内横断的なシステムであるため、基幹システム(ERP)や周辺システムのデータ活用が不可欠です。しかし、
「どのデータがSCMで必要であるか」
「どこから取得すればよいのか」
が分からず、導入検討の進捗が低下するケースも見受けられます。
使用中のシステム構成やSCMソリューションなどにより大きく異なるため一概には言えませんが、共通して重要なのは、“SCMで何を実現したいのか”を先に定義することです。
使いたい分析や判断を整理したうえで、
- 必要なデータ項目を洗い出す
- 既存データで代替できるか
- 新たにデータを作成する必要があるか
といった形で検討を進めることで、データ項目の検討がしやすくなり、データ不足による手戻りを防ぐことができます。
継続的な利用を促進するための施策がわからない
SCMは導入して終わりではありません。継続的に利用されてこそ効果を発揮します。
導入後に使われなくなってしまったり、SCMのデータの活用が出来なくなったりしてしまうと、導入効果が低下してしまいます。
そのため、導入プロジェクトから、
- 実データを用いた検証
- 日次・週次・月次業務の運用テスト
を行い、実運用に対応しているのか、実運用の際に障壁はないのかを確認します。特に業務運用については、具体的に障壁になりそうなパターンを書き出して、ひとつずつテストを実施して改善することが適切です。
また、利用開始後も利用継続のための改善は必要です。当初目的のKPIの削減が実施できているのかなどを確認し、想定より効果が少ない場合は、利用方法やSCM内の設定を見直す必要があります。
まとめ
本記事では、SCM導入時に起こりやすい代表的な課題と、その考え方についてご紹介しました。
実際のSCM導入プロジェクトでは、ここで挙げた以外にも企業ごとに様々な問題が発生します。
社内に十分な知見やリソースがない場合には、SCMに精通したメーカーやSIerと連携しながら進めることが、導入成功への近道です。SCM導入をご検討中の方のご参考になればと思います。
筆者
菅原 隆臣(Sugawara Takaomi)
製造業のシステム導入プロジェクトを通して経験を重ね、現在はSCM領域のシステム導入を担当。
SCMシステムの導入開始から導入後サポート・データ連携の問い合わせまで幅広い分野を領域としてSCMシステムの顧客最適化を推進している。




