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ファブレス企業がSCM導入を失敗させないためには

連載テーマ 「ファブレス企業の計画課題をSCMで解決」

前回までで、ファブレス企業は

・生産・調達・在庫・進捗が社外に散在しやすい構造
・結果として「在庫・納期・金額」が分断されやすい
・SCMを使えば、標準機能でもそれらを“1つの流れ”に統合できる

という点を整理しました。
最終回となる今回は、【SCMを実際に導入・運用する際に、どうすれば失敗を避けられるか】をテーマにお話しします。

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ファブレス企業のSCM導入が失敗する典型パターン

これまでもご記載してきましが、ファブレス企業が抱える問題は構造的な問題になります。

導入時には、次のような“典型的なパターン”が発生することがあります。

過去のExcel文化をそのままシステムに持ち込む

  • 担当者ごとの判断基準
  • 個別に作られたExcel集計
  • 部門ごとに異なる基準値

これらをそのままシステムに移植しようとすると、運用が複雑化してシステムの良さが活きません。

情報が外部にある前提を考慮せずに導入する 

ファブレス企業では、

  • 生産情報は外部工場
  • 在庫情報は外部倉庫
  • 部材情報はサプライヤー

にあります。この部分をどのように運用するかを導入前に計画することをお勧めします。

※参考:SCM導入によりサプライヤーや外部工場へ内示情報を出すことにより、工場側の供給予定をデータ化する。などを対応された例があります。

カスタマイズ前提で考えてしまう 

SCMシステムは一定の型が存在しております。
その標準機能を前提として導入することをお勧めします。
※最近は、短期間導入が可能な、SaaS型SCMも存在しております。(カスタマイズ不可)

大きなカスタマイズに頼ってしまうと、

  • 導入期間が延びる
  • 運用が複雑になる
  • アップデート対応が難しくなる

など、長期的に負荷の問題が起きてきます。
さらに、【結局は今の業務と変わっておらず効果が得られない】こともあります。
“今の業務は、今後変わっていく”ことや“業務を簡素化・標準化すること”を考慮してシステム利用・運用を検討することが求められます。

SCM導入を成功させるためのポイント

ファブレス企業のSCMシステム導入が成功するには、共通点があります。

システム標準プロセスを「基準ルール」として理解する

標準プロセスは、情報を一つの流れにまとめるための「基準ルール」としていきます。

  • 在庫計上のタイミング
  • 発注の作り方
  • リードタイムの扱い
  • 納期更新の方法

こうした基本動作を、標準プロセスに合わせるだけで改善がスムーズに進みます。
※製品、得意先、サプライヤーによって様々なケースがあります。 完全に合わせるのではなく、標準プロセスを参考に「寄せられるところから寄せる」というスタンスがベストです。

Excelを”禁止しない”

システム導入するにあたり、Excel文化の脱却まで目標にされる企業もあります。
成功している企業は、Excelをうまく使い分けています。

 標準の反復業務 → SCMシステム
 例外処理・個別分析 → Excel

ファブレス企業でSCMシステム導入をさせるためには、SCMシステム外の個別処理を完全になくすのではなく、“Excel頼りにならない業務構造”を徐々に作っていくことが大事になります。

連載第2回目の記事で触れましたが、ノーコードツール・ローコードツールの周辺システムと一緒に導入することもお勧め致します。
ファブレス企業は取引企業によって様々なルール・運用が変わっていく必要がありますが、Excel業務が残ると、各担当業務が統制されづらい点が残ります。
そういった際に、個別処理部分はノーコードツール・ローコードツール等で作り、Excel脱却する手段もございます。

小さく始めて、改善を繰り返す

ファブレス企業はサプライチェーンが複雑なため、一気に全部を移行しようとすると失敗しやすいです。
成功パターンは、

  1. まず「在庫と需要」など、最も影響の大きい部分から開始
  2. 運用が安定したらサプライヤー管理へ拡大
  3. 最後に金額管理まで一気通貫で統合

という 段階的アプローチ が必要です。

ファブレス企業だからこそSCMシステムで素早く適正な判断へ

数量と金額を「同じ流れ」で管理できていますか?
フファブレス企業だと、SCMシステムは導入できないという声を聞くことがありますが、
そこは逆です。 情報が外部に分散しているからこそ、SCMシステムによって標準フローを統制しやすくなります。

複雑な製販をもった製造業と違い、需要計画・在庫計画・購入計画がシンプルに導入できますので、パッケージのまま導入が行いやすいメリットがあります。

そのまま導入することにより

  • 継続した自動アップデート
  • スピーディーな導入で新機能をすぐ使える
  • 運用コストが軽い

といった 「変化に強い」 特性と合わせて継続的な運用が可能になります。

金額・在庫・納期が同じ流れで扱えるようになる

ファブレス企業で特に難しい

  • 在庫の評価額
  • 粗利計算
  • 調達価格の変動

これらは、標準のプロセスに乗せることで 自動的に精度が上がっていきます。
標準プロセスで結果を早く・正しく見える化し、経営判断できるようになります。

まとめ

ファブレス企業こそ、SCMは「軽やかに導入」することが重要です。
そのポイントは、

✔ 標準プロセスをベースとして理解する
✔ ルール・判断基準を整理し、現場の迷いをなくす
✔ Excelを過度に排除せず役割を分ける(または外部にノーコードツールの仕組みを作成)
✔ 小さく始めて、改善しながら拡大する
✔ カスタマイズではなく“運用設計”に力を入れる

SCMシステムは、「在庫」「納期」「金額」を繋ぎ、意思決定を素早く実施できる強力なツールになります。
複雑なシステムではなく、シンプルで続けられる仕組みで導入ができる。
これが、ファブレス企業がSCMシステムを導入する強みとなっていきます。

筆者

仲 正記(Naka Masanori)

トーテックアメニティ株式会社で20年間以上、様々な製造業様へシステム導入を実施してきた。
生産管理システム導入から始まり、生産スケジューラの「シニアAPT認定」を保有して工場計画導入を数多く実施してきた経歴を持つ。
『今後の製造業はSCM業務範囲(需給調整計画)が重要』として、2024年からSCMソリューションも推進している。