前回は、ノーコード/ローコードツール導入時によく見られる失敗パターンについてご紹介しました。
連載テーマ 「ノーコード/ローコードツール導入を成功させるための実践」
- ノーコード/ローコードツール導入でよくある失敗パターン
- スモールスタートで成果を出すノーコード/ローコードツール導入の進め方
業務改善やDX推進を目的に導入したものの、
- 対象業務を広げすぎてプロジェクトが長期化してしまう
- 部門ごとにアプリが乱立してしまう
- 運用ルールや権限管理が後回しになってしまう
といった課題に直面する企業は少なくありません。
こうした失敗を防ぐために重要なのが、「スモールスタート」という考え方です。
スモールスタートとは、小規模な業務から導入を開始し、効果を確認しながら段階的に適用範囲を広げていく進め方です。
ノーコード/ローコードツールは短期間でアプリを構築できるからこそ、最初から大きな仕組みを目指すのではなく、小さく始めて成果を確認しながら段階的に拡大していくことが成功への近道となります。特に初めて活用する場合は、成果が見えやすい業務から着手することが重要です。
そこで今回は、ノーコード/ローコードツールの導入にあたって
- 最初に選ぶべき業務
- PoC(Proof of Concept:概念実証)の進め方
- 1〜2か月で成果を出すためのポイント
ノーコード/ローコードツール「Accel-Mart Quick」の概要資料はこちらからダウンロード頂けます
最初に選ぶべき業務とは
スモールスタートを実現するためには、最初の業務選定が成功を左右する重要なポイントです。
導入効果を早期に実感したい場合、多くの関係者が関わる大規模業務や基幹システムとの複雑な連携が必要な業務は、最初の対象としてはハードルが高い場合があります。
そのため、まずは短期間で成果を確認しやすい業務から着手することをおすすめします。
ノーコード/ローコード導入の初期対象として適している業務には、次の特徴があります。
- 紙やExcelで運用されている
- 業務フローが比較的シンプル
- 利用部門が限定されている
- 効果を数値化しやすい
- システム連携を必要としない、または最小限で済む
該当する業務の
- 稟議申請
- 備品購入申請
- 点検記録管理
- 日報・報告書管理
これらの業務は比較的短期間でシステム化でき、改善効果も見えやすいため、初期の成功事例を作りやすい傾向があります。
重要なのは、「全社的な課題だから」ではなく、「短期間で成果を確認できるか」という観点で選定することです。
PoC(概念実証)の進め方
PoC(Proof of Concept:概念実証)とは、新しいシステムや業務改善施策が期待した効果を発揮するかを事前に検証する取り組みです。
ノーコード/ローコードツール導入においても、小規模な環境で運用しながら効果や課題を確認するために実施されます。
一方で、ノーコード/ローコードツール導入時によくある誤解が、PoCを「試しにシステムを作ること」と捉えてしまうことです。
しかし、PoCの本来の目的は、「システムを完成させること」ではなく、「その業務改善が本当に効果を生むのかを検証すること」にあります。
「ノーコード/ローコードツールは短期間でアプリを構築できるため、システム開発そのものに意識が向きがちです。しかし、本来確認すべきなのは、導入した仕組みによって業務がどのように改善されるのかという点です。
例えば申請業務の場合、
- 申請時間が短縮されたか
- 承認までの時間が短縮されたか
- 入力ミスが減少したか
- 利用者が問題なく使えているか
などを確認します。
この段階では完成度100%を目指す必要はありません。
むしろ、
・必要最低限の機能で構築する
・実際に利用してもらう
・フィードバックを収集する
・改善を繰り返す
というサイクルを素早く回すことが重要です。

ノーコード/ローコード導入の成果を
1~2か月で出すためには?
最後にノーコード/ローコードツールを活用して、短期間で成果を出すためのポイントを4つご紹介します。
ポイント1:改善目標を具体的にする
まずは改善したい業務と達成したい成果を明確にします。
この際、
- 誰が利用するのか
- 現在の課題は何か
- どのような成果を期待するのか
を整理することが重要です。
例えば、「申請業務をデジタル化したい」といった漠然的な目標ではなく、
「申請から承認までの日数を3日から1日に短縮したい」といった具体的な目標を設定することで、導入後の効果を測定しやすくなります。
ポイント2:最初は必要最低限の機能に絞る
早期に成果を出すためには、「やらないことを決める」ことも重要です。
導入初期は、
- 申請入力
- 承認フロー
- 通知機能
など、運用に必要な機能に限定して構築します。
「あったら便利な機能」は後から追加できるため、最初から要件を詰め込みすぎないことが成功のポイントです。
ポイント3:利用者の意見を取り入れながら進める
実際に業務を行う担当者の意見を取り入れながら進めることで、導入後のミスマッチを防ぐことができます。
完成してからまとめて確認するのではなく、
- 試作品を見てもらう
- 改善点を確認する
- 修正する
というサイクルを繰り返すことで、手戻りを減らし、現状に定着しやすい仕組みづくりにつながります。
ポイント4:効果を数値で可視化する
導入後は、改善効果を数値で確認することが大切です。
例えば、
- 処理件数
- 作業時間
- 承認までの期間
- 問い合わせ件数
などを記録することで、成果を客観的に把握できます。
申請業務であれば、
- 承認までの時間が3日から1日に短縮された
- 申請漏れが発生しなくなった
- 管理者の確認作業が月10時間削減できた
といった形で効果を可視化できます。
効果が明確になることで、次の業務改善や利用範囲の拡大に向けた社内理解も得やすくなります。

まとめ
本連載では、ノーコード/ローコードツール導入を成功させるためのポイントについてご紹介してきました。
第1回では導入時によくある失敗パターンを、第2回では成功につなげるためのスモールスタートの進め方をご紹介しました。
ノーコード/ローコードツールは、短期間かつ低コストで業務改善に取り組める一方で、対象範囲を広げすぎたり、最初から完璧な仕組みを目指したりすると、本来のメリットを十分に活かせなくなる場合があります。
そのため、まずは成果が見えやすい業務から小さく始め、PoCによる効果検証と改善を繰り返しながら、成果を可視化していくことが重要です。
小さな成功体験を積み重ねることで、全社的な業務改善やDX推進へとつながっていきます。
本記事が皆さまの取り組みの一助となれば幸いです。今後もノーコード/ローコードツールに関する情報を発信してまいりますので、ぜひ引き続きご覧ください。
なお、今回ご紹介する考え方は、ノーコード/ローコードツール「Accel-Mart Quick」の導入検討時にも活用できます。
Accel-Mart Quickの概要については以下の資料をご覧ください。

ノーコード/ローコードツール
『Accel-Mart Quick』基本ガイドブック
| 筆者 船越 大輔(FUNAKOSHI DAISUKE) 経歴: 公共システムの導入やアンケートシステム、ECサイトの構築など、幅広いプロジェクトに携わる3年目のシステムエンジニア。設計・開発工程を中心に経験を積み、公共分野の健康管理システム導入プロジェクトでは、要件定義からリリースまでの一連の工程を経験。 現在はAccel-Mart Quickを活用した業務アプリケーション開発に従事し、お客様の業務改善や既存システムの刷新、DX推進を支援している。 |



