連載テーマ 「SCMのSEが解説!AI時代の失敗しない需要予測活用法」
- SCMの需要予測はどこまで活用できる? ~予測の種類と適正について~
近年、AIの活用が活発になる中、SCM(サプライチェーン・マネジメント)の分野において、「需要予測」はますます注目されています。
そんな中で、
・そもそも需要予測は自社で活用できるのか?
・SCMで需要予測をうまく活用するには?
などのお声もよく耳にします。
そこで今回は、SCMにおいて、失敗しない需要予測活用法のポイントを、SCMシステムSEの視点でお話しいたします。
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需要予測がうまくいかない原因
需要予測とは、過去のデータをもとにAIや統計的手法を活用して将来の需要を見通すことで、生産や在庫の最適化を図る取り組みです。
しかし、ご担当者様にお話をお伺いする中で、「予測通りにいかない」「最終的には人の判断で調整している」といった声も少なくありません。
これは需要予測そのものが使えないというよりも、「使い方」や「適用する場面」のミスマッチが原因であるケースが多いと言えます。
また、需要予測には複数の手法が存在し、それぞれに得意・不得意がありますので、どの手法を選択するかによって、予測精度や運用のしやすさは大きく変わります。
本記事では、需要予測の代表的なアルゴリズムと、それぞれに適した需要パターンを整理します。
需要予測で用いられるアルゴリズムの種類
需要予測に用いられるアルゴリズムは、大きく分けると以下のようなグループに分類できます。
- シンプルな統計手法
- 時系列モデル
- 回帰モデル
- 機械学習モデル
それぞれのグループごとに、メリットとデメリットが存在します。
以下で具体的に見ていきます。
シンプルな統計手法
最も基本的な手法が、移動平均などに代表されるシンプルな統計手法です。
これは、過去の一定期間のデータを平均化したり、直近の値をそのまま用いたりすることで将来の需要を予測します。
メリット
- 実装が容易である
- 計算コストが低い
- データ量が少なくても利用可能
デメリット
- 急激な需要変動やトレンドの変化に弱い
- 外部要因を考慮できない
そのため、需要が比較的安定している商品や、短期的な補正に向いています。
例えば、コンビニのおにぎりのように大きな変動が起こりにくい商材や、短期的に補正が入る日経平均株価などには適した手法です。
時系列モデル
時系列モデルは、時間の流れに沿ったデータの変化に注目し、「トレンド」や「季節性」といったパターンをモデル化する手法です。
代表的な例として、指数平滑法やARIMAモデルなどが挙げられます。
メリット
- 季節性や周期性を捉えやすい
- 比較的高い精度が期待できる
デメリット
- モデル設定やパラメータ調整が難しい
- 専門知識が必要になる場合がある
- 突発的な変動への対応が難しい
このような安定した繰り返しパターンがあるデータに対して効果的です。
例えば、ランドセルのようにお盆時期に需要が高まるなど、明確な季節性を持つ商品に適しています。
回帰モデル
回帰モデルは、需要と外部要因との関係性に着目する手法です。
例えば、気温・販促活動・曜日といった要素と需要の関係を数式として表現し、その関係性をもとに将来の需要を予測します。
メリット
- 需要変動の要因を説明しやすい
- ビジネス上の意思決定に活用しやすい
デメリット
- 適切な説明変数の選定が必要
- データ整備に手間がかかる
- 非線形な関係には弱い場合がある
こちらは要因が明確な場合に特に有効です。
例えば、気温が高いと売上が伸びるビールのように、需要と外部要因の相関がはっきりしているケースで強みを発揮します。
機械学習
近年注目されているのが、機械学習を活用した需要予測です。
大量のデータからパターンを学習し、従来の手法では捉えきれなかった複雑な関係性をモデル化します。
代表的な手法として、ランダムフォレストやニューラルネットワークなどがあります。
メリット
- 高精度な予測が期待できる
- 多様な要因を同時に考慮できる
デメリット
- モデルがブラックボックス化しやすい
- 大量のデータが必要
- 運用コストが高い
例えば自動車販売では、ボーナス時期や新生活シーズンといった季節要因に加え、燃費志向の高まりや地域特性など、複数の要因が重なって需要が変動します。
このような複雑なケースでは、機械学習の活用が有効です。
| アルゴリズム | 適応パターン | 特徴 |
|---|---|---|
| シンプルな統計方法 | 需要が安定・短期補正 | 導入が容易。外部要因は考慮不可 |
| 時系列モデル | 季節性・周期性がある商品 | トレンド・季節性を捉えやすい |
| 回帰モデル | 要因が明確・限定的 | 要因と需要の関係を説明可能 |
| 機械学習 | 要因が多く複雑な場合 | 高精度だがデータ・コスト負荷大 |
まとめ
ここまでご紹介したように、需要予測にはさまざまなアルゴリズムが存在し、それぞれにメリットとデメリットがあります。
重要なのは、「どの手法が優れているか」ではなく、「どの状況にどの手法が適しているか」を見極めることです。
そしてもう一つ忘れてはならないのが、これらのアルゴリズムだけですべての需要を正確に予測することは難しいという点です。
次章では、こうした需要予測をする際に必要な考え方と、なぜ人の判断、いわゆる「意思入れ」が重要になるのか。
そして、システムでの需要予測と「意思入れ」とのバランスについて、在庫の持ち方を踏まえてご紹介していきます。
| 筆者 田島 圭悟(TAJIMA KEIGO) 経歴: データ連携やBIに関するシステム導入に携わった経験を背景に、現在はサプライチェーン管理(SCM)分野のシステム導入支援に従事している。 これまでの知見を活かし、業務改善とシステムの最適化に貢献している。 |

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