プロセス型製造における生産スケジューラ(生産計画システム)導入の難易度について「バッチサイズ・荷姿」

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連載テーマ「プロセス製造業でも生産スケジューラが活躍しています!」

    1. Vol.1 プロセス系製造業における生産スケジューラ(生産計画システム)の計画ロジックとは
    2. Vol.2 プロセス型製造における生産スケジューラ(生産計画システム)導入の難易度について「タンク繰り」
    3. Vol.3 プロセス型製造における生産スケジューラ(生産計画システム)導入の難易度について「バッチサイズ・荷姿」

【プロセス製造業における生産スケジューラの活躍について】まとめた資料をダウンロードいただけます。

 

目次

  1. プロセス系製造業におおける生産スケジューラの導入
  2. 対応例1:(配合工程)釜の容量に応じたバッチサイズで計画する
  3. 対応例2:(充填工程)バッチと荷姿の異なる製品の需要を紐づける
  4. まとめ

プロセス系製造業における生産スケジューラの導入

プロセス型製造 では、『複雑な制約条件』を加味しながら、効率的かつ実行可能な生産計画を立案する必要があります。
前回は『タンク繰りの制約』を紹介しましたが、他にもプロセス系特有の 様々な制約条件があります。※前回の記事はこちら
今回は、『バッチサイズ』と『荷姿』について、具体的な事例を示しながら紹介します。

今回のモデルケースを以下に示します。


対応例1:(配合工程)釜の容量に応じたバッチサイズで計画する

プロセス系製造では、同じバルクであっても、配合する窯の容量に応じてバッチサイズが変わります。
以下に、その詳細を示します。

前述のモデルケースには、10t・8t・3tの配合釜がありますが、さらに、バルク種類ごとに実行できる釜が限られます。

(釜・バルクの対応表)

  バルクX バルクY
釜A(10t) ×
釜B(8t) ×
釜C(5t)

そこに、バルクの需要が、下表の量・10日後の納期で発生したとします。

 バルク 需要量
バルクX 110t
バルクY 120t

まず、製造できる釜の中から、1番大きい釜に計画してみます。
バルクXは、釜Aが選択され、10tのサイズで11バッチ計画されます。
バルクYは、釜Bが選択され、8tのサイズで15バッチ計画されます。

しかし、一部が需要日に間に合っていません。 バルクXは10tの1バッチが、バルクYは8tの5バッチが需要日に間に合いません。

そこで、需要日に間に合わない部分を、別の釜に移動します。
製造できる釜の中から、次に大きい釜に計画してみます。
バルクXは、釜Cが選択され、5tのサイズで2バッチ計画されます。
バルクYは、釜Cが選択され、5tのサイズで8バッチ計画されます。

その結果、全てが需要日に間に合いました。

このようにして、容量の異なる釜が多数存在する場合でも、バッチサイズを切り替えながら需要日に間に合わせるスケジューリングロジックを実現しました。

生産スケジューラAsprova(アスプローバ)では同様の処理を複数回実行しています。
これらは、Asprova(アスプローバ)の標準機能である「計画パラメタ」を組合せて実装しました。

【Asprova(アスプローバ)で実装したスケジューリングロジック】

対応例2:(充填工程)配合バッチと荷姿の異なる製品の需要を紐づける

製品の荷姿ごとの需要を満たすように、充填工程を計画します。
例えば、荷姿がコンテナの製品の需要が6t発生したとします。
すると、以下の様に計画され、バルク4tが余ります。
ただ今回、バルクの在庫を釜に貯めておくことはできないという制約が存在しました。
その為、コンテナ製品を4t余分に充填します。

ここで急遽、ドラム製品の需要が3t、缶製品の需要1t発生したとします。
これらを、現状余っているバルク4tに引き当てたいのですが、コンテナ充填の計画がすてに立案されています。
標準機能で、既存の計画を変更せずに新規の計画を立案すると、バルク及び製品を余分に作る計画になってしまいます。

その為、急遽発生した需要に応じて製品の計画を変更できるように、充填内訳を変更する機能を作成しました。
配合のガントチャートバーを選択すると、充填内訳画面が表示されますので、画面上で充填内訳を変更します。
 

そうすると結果が、ガントチャートに反映されます。
 

なお、この機能はプラグインで実装しました。
※プラグイン:ソフトウェアの機能を拡張するプログラムのこと。

プラグインについてはこちらで解説しております。 

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回はバッチサイズ・荷姿に着目して対応例をご紹介しました。
一般的にプロセス系製造業には生産スケジューラが向かないと言われていますが、上記のように様々な対応方法があります。

プロセス系製造業への生産スケジューラ導入は難易度が高いですが、Asprova(アスプローバ)の標準機能とプラグインを織り交ぜながら、問題なく導入できます。

弊社では、みなさまの生産計画業務における課題解決に向けて、システム構築によるご支援をしております。
生産計画業務効率化に向けたシステム検討の際は、是非ご相談ください。

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