連載テーマ「SCMによる在庫適正化」
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アナログな需給計画となってしまっている企業様がSCMシステム導入を検討するきっかけとしては、下記の様な状況があるのではないでしょうか？
・将来の需要が読めず、調達や生産が間に合わない
・Excelで各部署・個人が計画表を作っているが限界
・工場で生産過剰・在庫過多販売と同期しない
・急激に販売が伸びて大量のバックオーダー。短期の生産計画だけでは、中長期の供給が危うい
・各販社の需要計画が本社で把握できず、調達・生産の計画が立たない
・各国販社からの要求に対して適切な供給アロケーションができていない
・工場や在庫拠点が増えて供給網が複雑になり、マニュアルでは対応できない
・これまで顧客からの確定受注で生産をしていたが、供給が間に合わないので見込生産に転換したい
・既存システムが陳腐化、現状に合わないので置き替えたい
その上で、改めてSCMシステムとは何かをお話ししたいと思います。
まず、大きなくくりとして、SCMシステムと言われるサプライチェーン・マネジメントを支援するソフトウェアは、主に以下の計画策定・評価・生産実行の業務領域をサポートします。
その中で、SＣＰシステムとして、サプライチェーン計画を支援するソフトウェアでは、企業内でデータを共有するデータベースと、AIや数理計画のエンジンが実装されており、以下のような機能を持っています。
SCPシステムの主な機能
ここからＳＣMシステム導入の進め方についてお話しいたしますが、その前に、ＳＣＭの理想的なあり方を大きく3つ提示いたします。
1つ目は、センターマネジメントです。
サプライチェーンマネジメントにおいては、全社最適化を図るためのコア組織を構築し、その組織が主となり管理していく体制が理想となります。
2つ目は、データに基づく計画です。
勘や経験に頼ったものではなく、リアルなデータを用いて合理的な計画策定をしていくことが必要です。
最後3つ目は、仕組みのインフラ化です。
部署ごとで断片的な管理となってしまっては部分最適に留まってしまうため、各関係部署が同じ情報に基づいて指をさして議論できるような環境を構築することが必要となります。
そして、企業の組織や体制によって、アプローチの方法は様々ですが、複数の部署が関与して業務プロセスに関わる仕組みの構築となりますので、必ず“プロジェクト”として進めることが定石となり、SCMシステムの導入プロジェクトのプロセスとしては、下記の様な流れが一般的かと思います。
０．プロジェクト発足
SCM（需給調整）部が中心となり、関係部署と連携して、上位マネジメントがリードするプロジェクト体制を組みます。
プロジェクトリーダーには、部分的な問題点を解決する能力よりも、サプライチェーン全体を俯瞰的に把握し、将来の方向性を見極められる人材をアサインします。
１．現状分析
現状分析のフェーズでは、主に課題分析や、現在の業務プロセス・現システムの調査などを行います。
プロジェクトチームがリードし、各部門にヒアリング、または複数部門の集まるワークショップ形式で、現状の問題を分析し、施策の方向性を合意します。さらに、現状の計画業務のプロセスを明らかにし、新業務設計の変化点を明確にします。
２．全体構想の合意
把握できた現状をもとに、システム導入後の構想を明確にするため、
・将来のありたい姿や目標（KPI）
・目標を実現するための取り組み
・関係部署
・どのような業務をシステム化しいていくのか
・導入後の期待効果
・どのような指標で評価するのか
などの項目について、ロードマップなどを用いて時系列のステップ計画として描いていきます。
３．組織・業務プロセスの整備
このフェーズでは、全体を管轄する需給統括組織を設置し、これまで曖昧であった役割と責任を明確化するとともに、システム導入後の計画業務プロセスを設計します。
４．システム選定・検証
社内で業務プロセスを設計したのちは、RFI,やRFPを準備し、導入するシステムを選定します。
必要であればシステムベンダーとともにPoC/PoVを実施して、有用性や適合性を検証します。
５．導入プロジェクト
導入が決まったソフトウェアをベースに、ベンダーと共に要件定義をし、設計、カスタマイズ/追加開発、テスト、試行の工程を経て本番運用を始めます。
６．パイロット運用
小規模で試験的に運用し、その効果や課題を検証するため、パイロット対象の事業、拠点で本格運用を行います。
パイロット対象の選定は、「事業が伸びており将来需要の把握をいち早く行う必要がある」「SCMに理解のあるマネジメントがいる」「需要変動が激しいため将来需要の把握が必要」などの理由から考え選定していきます。
７．スコープ拡大・高度化
パイロット運用後は、当初の全体構想に沿って、海外拠点や事業部へ横展開するとともに、計画・管理の品質を上げていきます。
上記でご紹介したプロジェクトを進めるうえでのプロジェクト体制ですが、外部のコンサルタントやSCM専門企業の支援を受ける場合でも、自社メンバーが主体であることが重要な成功要因です。
ここまで導入プロジェクトのステップとして「正攻法」をご紹介させていただきましたが、導入を検討されているお客様からは、「導入期間が長くかかるのではないか」「経営陣の理解が得られるのか」「どれだけ導入費用がかかるのか」などの声もよくお伺いします。
弊社のご提案しているSCMソリューション「PlanNEL」では、実際のシステムに自社データを投入しお試しいただきながら運用をイメージすることで、早期に業務変革を図ることも可能です。
PlanNELは、「世界標準のSCM」の概念に基づき、ベストプラクティスのコンセプトを実装したSaaSのソリューションです。
組織や業務プロセスの整備と、システム検証・導入プロジェクトを並行することで、より運用のイメージを高め、実システムを体験しながらの導入となりますので、導入プロジェクトの中でより具体的に要件を落とし込んでいくことが可能です。
さらに、実際の運用をイメージしやすいことで、経営陣の理解も得られやすくなるというメリットもございます。
ここまで、SCM導入検討の背景から導入プロジェクトの進め方までをお話しさせていただきましたがいかがでしたでしょうか？
お話しさせていただいた様に、SCMシステムの導入は全社を巻き込んだプロジェクトとなり、自社メンバーが主体となってこれまでの業務を振り返り、将来の目指すべき姿や目標を定めていくものとなります。
弊社では、その様なプロジェクト推進において、業務プロセスの見直しからシステムの運用のご支援まで幅広くご支援をしております。
SCMシステムの導入を検討の際は、是非ご相談ください。
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