連載テーマ 「SCM導入を成功させるためのERP連携入門」
- ERPとSCMの関係性とは?|役割・目的・連携のポイントを解説
- ERPとSCMの連携に必要なデータとは?|連携方法と設計時の注意点
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はじめに
前回の記事「ERPとSCMの関係性とは?|役割・目的・連携のポイントを解説」では、ERPとSCMそれぞれの役割と、両システムを連携する重要性について解説しました。
今回は、そこから一歩踏み込み、ERPとSCMの連携においてどのようなデータに着目すべきか、また、データ連携を設計する際にどのような点に注意すべきかについて具体的に解説します。
システム間のデータ連携では何を整理すべきか
企業内で複数のシステムを利用する際、同じデータをそれぞれのシステムで扱うことがあります。その際に重要なのが、システム間でデータの定義や管理単位を整理しておくことです。
例えば、同じ品目を管理していても、システムごとに品番の定義や管理方法が異なると、同じ品目として正しく紐づけられない場合があります。
また、品番が一致していても、数量の単位や拠点などの管理単位が異なれば、そのまま同じデータとして扱えないことがあります。

このような違いを整理しないままデータを連携すると、データの一貫性が損なわれ、情報の集約や分析、業務運用の効率化が難しくなります。
これは、ERPとSCMを連携する場合も同様です。双方で共通して利用するマスタデータの定義や管理単位を整理し、同じ意味として扱える状態にしたうえで、データを連携する必要があります。
システム間の主なデータ連携方法
データそのものの整理とあわせて検討する必要があるのが、システム間でどのようにデータを受け渡すかです。
システム間でデータを受け渡す方法には、CSV、DB、APIなどがあります。
例えば、一方のシステムから出力したCSVファイルをそのまま取り込める場合であれば、比較的シンプルに連携ができます。一方、システムごとにデータ形式や管理項目が異なる場合には、連携時にデータを変換する仕組みが必要になります。
また、CSV・DB・APIなど複数の連携方式を組み合わせる場合には、データ連携ツールを利用して処理を集約する方法も考えられます。
このように、システム間のデータ連携を設計する際には、連携元で利用できるデータの出力方法と、連携先が必要とするデータ形式の双方を確認した上で、連携方式を設計する必要があります。
ERPとSCMの連携においても、こうした方法を用いて必要なデータを受け渡します。
では、具体的にどのようなデータを連携するのでしょうか?まずは、ERPからSCMへ連携するデータを見ていきます。
ERPからSCMへ連携するデータと活用方法
ERPからSCMへは、主にマスタデータと実績データを連携します。
マスタデータとしては、例えば以下のようなものが挙げられます。
- 品目情報
- 得意先情報
- 工場の設備情報
ERPは企業の経営資源を統合的に管理する役割を持つため、品目や得意先などのマスタデータは、ERPを中心に管理されているケースが多くあります。 また、実績データとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 販売実績
- 在庫実績
- 出荷実績
こういった実績に関するデータは、SCMにおける予測や計画の基礎となるデータです。
実績データは発生後に変更されることが少ないため、ある時点のデータをSCMへ連携し、予測や計画に利用することができます。
一方で、削除されたデータの扱いには注意が必要です。ERP側でデータが削除されても、その情報をSCM側で検知できなければ、SCM側には削除前のデータが残り続ける可能性があります。そのため、データの登録や更新だけでなく、削除された情報をどのようにSCMへ反映するかについても整理しておく必要があります。
SCMからERPへ連携するデータと活用方法
ERPからSCMへデータを連携するだけでなく、SCMで管理・算出した情報をERPへ連携し、その後の業務に活用することも考えられます。
SCMのうち、SCE(Supply Chain Execution:サプライチェーン実行)の観点では、受注や生産、出荷などの実行結果を集約し、ERPへ連携するといった活用が考えられます。
また、SCP(Supply Chain Planning:サプライチェーンプランニング)の観点では、計画結果として「いつ・どこに・何を・どれだけ補充するのか」といった将来の供給計画が作成されます。
こうした計画情報をERP側へ連携することで、将来を見据えた生産・調達などの業務につなげることができます。
SCM導入時に注意したい ERPとのデータ連携のポイント
ここまで、ERPとSCMの間で連携するデータや、その活用方法について説明してきましたが、実際にERPとSCMを連携する際には、両システムがどのように構成されているかによって、データ連携で考慮すべき点が異なります。
例えばERPとSCMの機能が同一のシステム内にある場合は、共通のデータ形式やデータベースを利用できるなど、比較的データを連携しやすいケースが多いです。
一方、どちらを既に導入していて、もう一方を後から導入されるケースもあるかと思います。基本的にはERPシステムはすでに導入されていて、これからSCMシステムを検討するという方が多いかと思いますが、この場合に注意したい点を2つご紹介させていただきます。
1.データを取得するタイミング
1つ目は、連携元のシステムからデータを取得するタイミングです。
連携元のシステムを日中も利用している場合、データは随時登録・更新されるため、どの時点のデータを取得したかを考慮する必要があります。
特に、同一システムからマスタデータと実績データをそれぞれ取得する場合には注意が必要です。例えば、マスタデータを取得した後に新たなマスタが登録され、そのマスタに紐づく実績データを取得すると、連携先のシステムで、マスタデータと実績データの間に不整合が生じる可能性があります。
そのため、データ連携を設計する際には、それぞれのデータを取得するタイミングを考慮し、連携先でもデータの整合性を保てるようにすることが重要です。

2.データの粒度・管理単位
2つ目は、「ERPとSCMでは、同じデータでも必要とする粒度や管理単位が異なる場合がある」ということです。
例えば、ERPでは品目単位で管理していても、SCMでは「品目×拠点」の組み合わせで計画を行うなど、利用目的によって必要なデータの持ち方が異なる場合があります。
そのため、ERPとSCMのデータ連携を設計する際には、項目名やデータ形式を合わせるだけではなく、「どの単位でデータを管理するのか」「それぞれの項目が何を意味するのか」まで整理しておくことが重要です。
このように、ERPとSCMのデータ連携では、データの取得タイミングと粒度・管理単位の両面から整合性を確認することが重要です。
まとめ|ERPとSCMのデータ連携で重要なこと
ERPとSCMのデータ連携で重要なのは、双方のシステムでデータを適切に利用できる状態を整えることです。
そのためには、データの定義や管理単位、粒度、連携方法、更新タイミングなどを整理する必要があります。特に、ERPとSCMではそれぞれの役割に応じて必要なデータの持ち方が異なるため、データをどのように利用するのかを踏まえて連携を設計することが大切です。
単にデータを受け渡すだけではなく、それぞれのシステムでどのようにデータを利用するのかまで考えて設計することが、ERPとSCMの効果的なデータ連携につながります。
| 筆者 菅原 隆臣(SUGAWARA TAKAOMI) 経歴: 製造業のシステム導入プロジェクトを通して経験を重ね、現在はSCM領域のシステム導入を担当。 SCMシステムの導入開始から導入後サポート・データ連携の問い合わせまで幅広い分野を領域としてSCMシステムの顧客最適化を推進している。 |

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