生産管理システムの導入フェーズとは

連載テーマ「生産管理システム導入を成功に導くポイント」
- Vol.1 生産管理システムの導入フェーズとは
- Vol.2 生産管理システムの導入時に気をつけたいポイント
- Vol.3 生産管理システム導入時に必要な現場との合意形成とは
- Vol.4 マスタの重要性について
- Vol.5 運用テストフェーズにて押さえておくべきポイント
工場でものづくりを行うにあたり必要な業務を円滑に進める為には生産管理システムの導入が不可欠となっており、多くの企業が導入しています。
生産管理システムと言ってもExcel/Accessなどを駆使して自社で開発したものやパッケージを導入するケースなど様々なものがありますが、SIベンダーに依頼し自社にあったパッケージを選定し導入するケースが多いと思います。
しかしながら実際に導入してみたものの、思うように使いきれておらず単なる実績を蓄積するだけのシステムになっている、無駄な作業が増えただけで思うような効果が出ていないなど、様々な要因があるのですが、そこには生産管理システムの導入には押さえておくべきフェーズが大きく5つあります。
それぞれを細かく見ていきましょう。成功に導くポイントがあります。これまでの経験を基にご紹介させて頂きます。
要件定義フェーズ
生産計画から出荷までの一連の業務フローをもとに、各業務での課題要望事項をヒアリングし、パッケージでの適応可否(Fit&Gap)を確認していきます。一般的にパッケージは汎用的に作られているため、自社の業務に当てはめると使いにくかったり、機能が充足していなかったりと対応できないケース(Gap)が出てきます。この場合にはパッケージをカスタマイズ/アドオンと呼ばれる外部システムにより対応/運用にて対応など、どのようにしてGapに対応するのかを検討する必要があります。
これらの作業によりシステムフロー図を作成し業務が滞りなく実施できる事を確認します。
他には機能要件以外の要件(非機能要件)について確認します。レスポンスやセキュリティ、運用性に関する要件を確認し、ソフトウェアだけでなくハードウェアを選定する為の条件を確認します。
導入支援フェーズ
要件定義が終わり、導入支援フェーズに移ると、主に以下の作業を行います。
マスタ作成
パッケージの持つ各種マスタの作成方法を検討します。
マスタの作り方ひとつでパッケージ導入がうまくいくかどうか決まると言っても過言ではありません。こちらは慎重に検討する必要があります。
パッケージ運用適応
プロトタイプを基に実業務のシミュレーションを行い、パッケージの持つパラメータを調整します。マスタ作成と並行して進めていく作業となります。
カスタマイズ設計フェーズ
要件定義フェーズにてカスタマイズ(もしくはアドオン)要件となったものに対し、画面/帳票のレイアウトの設計/詳細機能の設計を行います。
カスタマイズ設計は、お客様の要望に沿った画面や帳票を一から作成しますので、お客様は業務運用を想定した機能要件を提示していただく必要があります。
要件ヒアリング後に、画面イメージや帳票イメージを提示し、齟齬の確認を行います。
カスタマイズ開発フェーズ
設計書に基づきプログラム開発を行います。
このフェーズはSIベンダーが実施しますので、お客様の作業はございません。
運用テストフェーズ
実際の業務に即したテストケースを作成し、システムが想定した通り動作するかどうかの検証を行います。本稼働をスムーズに進めるための重要なフェーズになります。
当フェーズにて、仕様通りの機能が実装されていることを確認するだけではなく、操作性の確認などを行い、実業務の運用に耐えうるものかなどを判定していきます。
システムが想定通りであれば、本稼働に向けてのスケジュール調整や体制づくりの検討に入ります。
まとめ
生産管理システム導入フェーズについて簡単に説明させて頂きました。
導入までのフェーズをしっかりと認識し、スムーズに生産管理システムの導入を行いましょう。
次回からは本題である「生産管理システム導入を成功に導く重要ポイント」について、ご紹介させて頂きます。
筆者
プロフィール
市山 角真 Kadoma Ichiyama
経歴:
これまでに20社を超える製造業のお客様へ生産管理システムを導入。パッケージ導入だけではなく、業種特有の要件に応じたアドオンシステムの開発経験も豊富である。
過去の導入事例では、ハンディ/タブレットを活用した現場システムやWebEDIによる調達業務効率化、また、海外の関連子会社へのシステム展開の実績あり。
TPiCS導入指導者、認定指導員資格を保有

生産管理システム『TPiCS-X』
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