「SIベンダーを決定する」

連載テーマ「生産管理システム導入の秘訣」
前回は、「最終的な結論を出すにあたって何が重要か」という内容でした。
(詳しくは、Vol.8を参照ください。)
今回は「SIベンダーを決定する」について考えてみます。
こういうSIベンダーは要注意
- 「一式いくらの見積り」、「線5本の簡単スケジュール」
こういうSIベンダーの提案は、パッケージやツールを並べた提案となっており、業務の課題、問題の解決に踏み込んでいない提案になることが多いです。
- 特定の1名が提案書を全て書き上げていると思われる提案
提案書作成では、手分けした分業体制の場合と、特定の1名が全て書き上げてしまう場合とがあります。
システム構築はメンバーの専門性と役割分担が機能したプロジェクト活動なので、前者のやり方がうまく機能しているSIベンダーが望ましいです。
後者の場合は、社内リソース不足か、うまく活用できていない組織であるとも言えます。
⇒組織文化の問題であり、改善は望めない
SIベンダー選定のポイント
SIベンダーから、「提案依頼書(RFP)の内容が実現できるであろう」提案書を頂きました。
最終的に、どの提案を採用するかを決めなければなりません。
その時に、SIベンダーの評価も重要なファクターになります。
以下に、評価項目、評価指標を記載しました。SIベンダー選定時の参考にしてください。
評価項目 | 評価指標 |
---|---|
(1)基本的な態度・スタイル | ・アプローチの質(営業対応レスポンス、時間遵守、誠実さ) ・アプローチのスタイル(押し売り、聞き上手、決め込み、安請け合い) |
(2)取組みの姿勢 | ・資料を熟読しているか、理解しようと努力しているか ・やる気・真剣度・真面目さ・チームワーク・関係者の参画の度合い |
(3)提出物評価 | ・提案依頼内容に応えているか。手抜き・漏れはないか ・提案書としての基本要件がカバーされているか ・文書としての品質はどうか |
(4)技術基盤・技術力評価 | ・企業として高い技術力、標準化への取組み、浸透・整備がされているか ・技術力の根拠、経験、資格取得状況 |
(5)提案内容評価 | ・依頼内容・業務要件・システムの目的への理解度、読込みの深さ ・提案内容の合理性、納得性、説得力のある提案内容か |
(6)コストメリット評価 | ・算出根拠の信頼性、合理性、納得性、無茶・政治的値引きはしていないか |
(7)リスク管理・プロジェクト体制 | ・いきあたりばったり、その場しのぎ、人海戦術でないか ・しっかりしたチーム、会社としての体制があり、形だけでなく機能しているか |
(8)人材評価 | ・マネージャー/プロジェクトリーダー/メンバーの人格、態度、信頼性 ・この人と一緒にやりたいか/気が進まないか |
上記評価項目(1)から(6)については、希望の予算・スケジュールで動くシステムを手に入れるためには必須項目ですが、さらに(7)、(8)についても重要な項目であると考えます。
まとめ
- プロジェクトの成功=ステークホルダー満足を考えましょう。
- 次に、長期間良好なコミュニケーションが維持できそうかを考えましょう。
- カットオーバーまで同一の体制が維持可能なSIベンダーを選びましょう。
次回は、最終回となります。内容については総括となります。
筆者
プロフィール
青木 勝義 Katsuyoshi Aoki
経歴:
生産管理業務に携わって約25年。こよなく生産管理を愛しており、生産管理システムTPiCS-Xの導入は約30ユーザ程となる。地域柄、自動車部品サプライヤーをはじめとする幅広い業種のお客様への生産管理システムの導入実績を持つ。
最近は社内の若手メンバーへの育成に力を入れており(社内の生産管理勉強会の講師として活躍)、若手メンバーの成長を日々の楽しみとしています。
休日は愛娘とジャニーズのイベントへ繰り出すことを楽しみとしており、恒例行事は、年末のカウントダウンイベントへの参加。名古屋から東京ドームまで車で繰り出している(イベント終了まで、ひたすら車で待機)
TPiCS認定指導員(メーカ認定)の資格を所有。

生産管理システム『TPiCS-X』
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