生産管理システムを導入する時の業務要件No.1

連載テーマ「生産管理システム導入の秘訣」
『何をしたいか』
今回は、動かないシステムを導入しないための意思表示の3つのポイントのうち、「何をしたいか」について考えていきたいと思います。
システム化の対象を見誤らないために、As-Is、To-Beを明確にしなければなりません。
システムが納入されてから、「あれができない。」、「あの機能がない。」ということに陥らないため、すなわち動かないシステムとならないためには、SIベンダーに「こういうことができる生産管理システムを導入したい!」と伝えることが重要です。
(※As-Is:現状の姿、今の姿、To-Be:あるべき姿、理想の姿)
As-Is(現状の姿、今の姿)
以下のポイントを漏らさずに。
⑴システムありの場合
- 全体の業務がわかる資料(業務フローであればベスト)
- INとOUTを明記
- 物(帳票/部材/製品など)の移動を明記
- どの業務がシステム化されているか
- システム化されている業務、機能はどれか
- システムから出力される帳票があればサンプルを準備
- システム外で作成している帳票(EXCELなど)があればサンプルを準備
- システムから出力されるデータがあればサンプルを準備
- 他システムとのデータ連携があるか
⑵システムなしの場合
- 全体の業務がわかる資料(業務フローであればベスト)
- INとOUTを明記
- 物(帳票/部材/製品など)の移動を明記
To-Be(あるべき姿、理想の姿)
⑴システムありの場合
- 新業務フロー
- INとOUTを明記
- 物(帳票/部材/製品など)の移動を明記
- 課題を洗い出し「こうしたい!」を明確
- 課題はないが今後も必要な業務、機能を明確に
※これが不明確であると対象業務、機能から外れてしまい結果「あれができない。」、「あの機能がない。」ということになる可能性大です。 - 画面、帳票に対する要望
- 新システムの範囲を明確に(新業務フローでも良い)
⑵システムなしの場合
- 新業務フロー
- INとOUTを明記
- 物(帳票/部材/製品など)の移動を明記
- 画面、帳票に対する要望
- システム化したい業務、機能を明確に
- システム範囲を明確に
To-Beの要求事項を明確に
要求事項については、より具体的に伝えてください。
例を挙げてみます。
【受注】
・メール、Web、EDIの注文データを受注データとしてとりこみたい。
・受注情報は、”内示”と”確定”を区別したい。
・内示データは履歴管理したい。
【出荷】
・出荷実績計上で製品在庫の引落を行いたい。
【出荷実績/作業実績】
・共に実績入力は、タブレットで行いたい。
まとめ
今回は、生産管理システム導入時の意思表示としての3つのポイントのうち、「何をしたいか」について説明しました。
次回は、SIベンダーから見た「As-Is、To-Beはこんな纏め方にしてほしい。」、「要求事項はこういう書き方をしてほしい。」を、例を挙げながら説明します。
筆者
プロフィール
青木 勝義 Katsuyoshi Aoki
経歴:
生産管理業務に携わって約25年。こよなく生産管理を愛しており、生産管理システムTPiCS-Xの導入は約30ユーザ程となる。地域柄、自動車部品サプライヤーをはじめとする幅広い業種のお客様への生産管理システムの導入実績を持つ。
最近は社内の若手メンバーへの育成に力を入れており(社内の生産管理勉強会の講師として活躍)、若手メンバーの成長を日々の楽しみとしています。
休日は愛娘とジャニーズのイベントへ繰り出すことを楽しみとしており、恒例行事は、年末のカウントダウンイベントへの参加。名古屋から東京ドームまで車で繰り出している(イベント終了まで、ひたすら車で待機)
TPiCS認定指導員(メーカ認定)の資格を所有。

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