「最終的な結論を出すにあたって何が重要か」

連載テーマ「生産管理システム導入の秘訣」
今回は「最終的な結論を出すにあたって何が重要か」について考えてみます。
前回では、「提案依頼を受けたSIベンダーは、それに応えるための提案をします。提案依頼書の内容を吟味した結果、下記のいずれかのパターンで提案してきます。」
という内容でした。
(詳しくは、Vol.7を参照ください。)
先ず、生産管理システムについて、再度考えてみます。
生産管理の目的は、製造業務においてのQCD(Q:品質(Quality)、C:原価(Cost)、D:納期(Delivery))を最適にすることです。
お客様からの注文に応えるために、自社の製品が遅滞なく出荷できるように製品の製造計画を立案し、製造計画が全うできるように部品や原材料の調達計画を立案することが重要になってきます。
しかし、調達には時間が必要です。
製造には設備や人のキャパシティーが必要です。
時間とキャパシティーを補うためには在庫が必要になってきます。
このような面倒なことを人に代わって行ってくれるのが「生産管理システム」です。
生産管理の目的や生産管理システムを選ぶポイントをまとめた資料をダウンロードいただけます
では、今回の本題に移ります。
Vol.7の「パターン別の比較表」からわかるように、パターン4(スクラッチ)以外は、生産管理パッケージの導入を前提とした提案になります。
「パターン別の比較表」の各項目について吟味し、結論を出さなければなりません。
導入費用
- システムは、「高かろう良かろう、安かろう悪かろう」ではありません。
- 費用に見合う効果が得られるかが重要になります。
期間
-
Vol.3の「導入スケジュール」を参考に検討します。
実装機能
「業務をシステムに合わせるか、システムを業務に合わせるか。」により、どの提案を選択するかが決まります。
生産管理システム導入に於いて”時間”と”費用”が掛るのは基本設計、カスタマイズ開発、アドオン開発ということになります。
この部分が少なくなれば期間は短くなり、費用も安くなります。
使い勝手(操作性)
業務をシステムに合わせることができるとするなら、使い勝手(操作性)もシステムに合わせられるはずです。
現状にこだわりすぎないようにしましょう。 あくまでも「機能 > 使い勝手」です。
メリット
Vol.7では、以下のことを生産管理パッケージのメリットとして挙げました。
マスタを登録すれば、導入したその日から利用できる。
これは「カスタマイズ型パッケージ」や「スクラッチ」では得られないメリットです。
データベースが公開されているパッケージが多い。
⇒BIツール等からのデータ参照が容易に行える
多くの企業で利用されているので品質は安定している。
「アドオン型パッケージのアドオン機能」、「カスタマイズ型パッケージ」、「スクラッチ」 に比較して圧倒的に安定しています。
比較的安価で導入が可能。
安価の定義が明確ではありませんが、パッケージの場合はマニュアル等が充実しているので生産管理の知識があればSIベンダーの力を借りることなく導入することも不可能ではありません。
デメリット
Vol.7では、以下のことを生産管理パッケージのデメリットとして挙げました。
自社の業務内容や、今後も継続利用する他システムとの連携が可能か等、検討が必要。
デメリットというより、不変であるなら仕方ないですね。
UI(画面、帳票)について、「ああしたい! こうしたい!」ができない。
これをデメリットと捉えるか、機能的に問題がなければ受け入れるかは考え方次第かなと思います。
SIベンダーの選定
「パターン別の比較表」には項目はありませんが、SIベンダーの選定は重要です。
Vol.6でも書きましたが、システムの導入は協同作業です。
まとめ
今回は、「最終的な結論を出すにあたって何が重要か」について説明してきました。
次回は、「SIベンダーを決定する」について考えていきたいと思います。
筆者
プロフィール
青木 勝義 Katsuyoshi Aoki
経歴:
生産管理業務に携わって約25年。こよなく生産管理を愛しており、生産管理システムTPiCS-Xの導入は約30ユーザ程となる。地域柄、自動車部品サプライヤーをはじめとする幅広い業種のお客様への生産管理システムの導入実績を持つ。
最近は社内の若手メンバーへの育成に力を入れており(社内の生産管理勉強会の講師として活躍)、若手メンバーの成長を日々の楽しみとしています。
休日は愛娘とジャニーズのイベントへ繰り出すことを楽しみとしており、恒例行事は、年末のカウントダウンイベントへの参加。名古屋から東京ドームまで車で繰り出している(イベント終了まで、ひたすら車で待機)
TPiCS認定指導員(メーカ認定)の資格を所有。

生産管理システム『TPiCS-X』
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