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生産管理システムとは~その機能、役割とは?どう選べばよいのか?~

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生産管理システムとは~その機能、役割とは?どう選べばよいのか?~

 

 

 生産管理業務のためのコンピュータシステムやソフトウェアは、いわゆるパソコンショップや家電量販店に行っても売っていません。
また、多くの場合DVD-ROM等からインストールすれば使えるようになる、というものでもありません。SIベンダーと協力し「プロジェクト」を進めていくことが必要であり、ユーザー側にもかなりの知識やスキルが要求されます。

 そこで今回はユーザーとして理解しておくべき知識や押さえておきたいノウハウについて解説していきます。

生産管理システムに関する資料をダウンロードできます

いろいろな「生産管理システム」

コンピュータシステムやソリューションには命名規則というものがありません。
つまり、ひとくちに「生産管理システム」といっても開発ベンダーそれぞれの解釈で命名しているため、その内容には種々様々なものがあるのです。

一般的に生産管理システムと呼ばれるものは、工場運営の機能がひと通り揃っているものを言います。例えば下図のような業務機能が揃っているものです。

いろいろな「生産管理システム」


そこから、各ITベンダーは自社の特徴を出すために対応できる業務範囲を拡大したり、一部の機能に特化したり強化したりするわけです。たとえば現場のスケジュールをこまかく立ててくれたり(APS:Advanced Planning Scheduling)、売り買いのお金の管理を会計システムがなくてもやってくれたり、原価計算機能で利益がいくら出ているのか教えてくれたりといった例です。

そういった派生したシステムはそれ自体に固有の呼び名が付くこともあります。
いわゆるERP、MES、CIM、FMS、WMSといったアルファベットの略称です。
これらも広義では生産管理システムと呼べなくもないのですが、それぞれ特徴がありますので簡単に解説しておきます。

ERP(Enterprise Resources Planning)は企業の資源要素(ヒト・モノ・カネ・情報)の管理に重点を置いており、システムの位置づけとしては最高位にあります。
全てのサブシステム、部門システムから情報が集められ、経営判断に使用されます。
また国際会計基準に沿った機能となっていることが多く、グローバル企業に多く採用されています。

対してFMS(Flexible Manufacturing System)やMES(Manufacturing Execution System)はもっと現場寄りのシステムです。
生産設備と直結していることが多く、製造指示を直接実行するコントローラーの位置づけです。
加工の自動化だけでなく設備状況に応じて加工スケジュールを最適化したりするインテリジェントな面を持っています。
その代わりそれ以外のことは他システムに頼るところが多く、指示を外から貰う形で動くシステムが多いです。

CIM(Computer Integrated Manufacturing)はFMSやMESの親玉、マネージャーといった位置づけです。
工場各所に散らばるMESやFMSを統合管理し、工場全体のパフォーマンスを最大化するよう生産をコントロールします。

WMS(Warehouse Management System)は在庫管理、倉庫管理です。原材料から中間品、完成品に至るまでのモノや倉庫の管理に特化した、いわゆる倉庫番です。
以降、基本的には一般的な生産管理システムを中心に、選び方や導入の進め方をお話ししていきます。

生産管理システムとは~その機能、役割とは?どう選べばよいのか?~

カタログの読み方

生産管理システムの情報を集めようとしたとき考えられる手段としては、インターネットを検索するか、主に大都市圏で開催される展示会やセミナー等に足を運ぶことでしょう。
そこで得られる戦利品として大量のカタログやパンフレットがありますが、これらをどう読み解けばいいのでしょうか。ここでは注目すべき内容について解説します。

・キャッチコピー
まずどのカタログやパンフレットも、たいていキャッチコピーから始まります。
キャッチコピーにはそのソリューションの特徴や売りを表現していることが多く、求めているシステムと基本コンセプトが一致するかが分かります。

・業務フロー図、機能ブロック図
これらは業務スコープと業務の流れを表現しています。
自社の業務フロー図があればこれらと照らし合わせることでシステム化したい対象業務と流れがマッチしているか判断することができます。
自社の強みの源泉であるような業務がこれらの図にあるかどうかも重要な観点です。

・機能一覧表
画面や帳票、バッチ処理等どういった機能がシステムに搭載されているかが分かります。
機能名称からある程度内容は推定できますが、画面サンプルが公開されていればその機能の中で扱うデータや項目も推測することができます。

・生産管理用語
機能の説明文にはたいてい生産管理用語が使われています。
たとえばMRPと書いてあればそれは資材発注量の計算がMRPで行われるということであり、その理論や計算式は一般的な生産管理の解説を読めば理解できます。
自社の発注形態がMRPであれば、そのシステムは基本的にマッチする、ということが言えます。

・対象業種、導入ユーザー、事例
自社に合うか合わないかが一番具体的に分かるところです。
特にユーザー事例は実名で公表されている場合もあり、実社名が分かれば製造品目や業務形態が自社に似ているかどうかがインターネット等で調べられるはずです。

自社業務とのマッチングを評価する

複数のITベンダーにただ「生産管理システムを紹介してください」とお願いしても、各社が提案してきたシステムを横並びで比較することは難しい場合が多く、それは 「1.いろいろな生産管理システム」で述べたように今日の生産管理システムには多種多様なソリューションが存在するからです。

では、どうすれば提案の粒が揃うようになるでしょうか。
それにはまず、発注者の方である程度ソリューションやパッケージに当たりをつけることが有効です。
提案依頼をする前に、自社の要求に合うか合わないかを品定めしておくのです。品定めの視点としては、以下のようなものがあげられます。

①スコープ:
そのシステムが対応できる業務範囲。
例えば受注の登録から出荷までが対象で売上や仕入の管理は対象外、等。

②機能の深さ:
システムが持つ個々の機能の深さ。
例として在庫管理でいえば管理単位の粒度。グロス管理/ロケーション管理/ロット管理/・・・。

③業態特化:
特定の業種、業態への特化度。
例えば完全個別受注生産の業種向け、等。

これらの視点から「2.カタログの読み方」で解説したポイントをカタログから読み取り、自社の業務にマッチするかを分析します。
この作業をFit&Gap分析とよび、自社で出来ない場合はSIベンダーにお願いすれば簡易的な診断は無償でやってくれるはずです。
また、【生産管理システム導入の際の、SIベンダー選定のポイント】についてこちらの資料で解説しております。

自社業務とのマッチングを評価する

システム構築のアプローチ

冒頭に述べたように、生産管理システムは店舗で買うものではありません。
それらを提供ソリューションとして扱っているITベンダーに商談という形で声を掛けて提案してもらうのが一般的な流れです。

まず前回のブログ(生産管理業務とは〜目的から基本原則まで〜)で述べた通り、生産管理システムを構築しようとする前にまず自社の業務分析と構築方針を明確にする必要があります。
これは要件定義やグランドデザインと言われ、システム構築を成功に導く羅針盤とも言えるものです。

次に業務要件や組織要件からシステムに要求する事項をRFP(提案依頼書)にまとめ、SIベンダーに提案依頼します。
RFPを受け取ったSIベンダーは自社のもつソリューションで解決できるよう提案してくれるでしょう。
パッケージソフトを最大限活用する案や、自社開発したソフトウェアテンプレートをカスタマイズする方法で提案してくるかもしれません。
いずれにしても、発注側はRFPという共通のものさしでSIベンダーからの提案を評価すればよいわけです。

システム構築のアプローチ

一緒に構築するSIベンダーを決めたら、いよいよプロジェクトを発足して構築に着手しますが、そのとき重要なのがプロジェクトの体制です。
いくら会社内での地位が高くてもひとりでは遂行できません。
システムに関係のある部署から広くメンバーを集めてプロジェクトチームを組織し、会社としての取り組みとして進めることが成功へのカギとなります。
システム構築のノウハウ、失敗しないコツ等については追々ご紹介していきたいと思います。

まとめ

ひとくちに生産管理システムといってもさまざまなソリューションがあります。
システムやソリューションの情報を集める際は、上で述べたような着眼点でカタログやパンフレットを読み解いていただき、自社に合ったソリューション選択の参考にしていただければ幸いです。
次回からは一般的な生産管理システムにおける個別の業務機能について、もう少し詳しく解説していきます。

筆者
プロフィール

星野拓 Takumi Hoshino
経歴:
自動車部品メーカーの設備技術者、物流システムメーカーのSEを経てトーテックアメニティに入社。
生産管理システムのプレSE及びプロジェクトマネージャとして豊富な導入実績を持つ。
第1種情報処理技術者
IoTエキスパート

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