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在庫管理システムと生産管理 ~在庫管理の考え方と実践~

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在庫管理システムと生産管理 ~在庫管理の考え方と実践~

 

 

生産管理において在庫管理は非常に重要です。
多くの製造業においては在庫なくしての生産計画は成り立ちません。

業種によっては生産管理と在庫管理はイコールとも捉えられます。
今回は生産管理における在庫管理とシステム化について解説します。

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在庫管理の目的

よく在庫は悪だという言い方をされる場合があります。
冒頭で在庫管理は重要と言いながら悪者呼ばわりするのも何ですが、一般論的に言えば企業にとって在庫は少ない方が良いことは間違いありません。

ではなぜ企業は在庫を持つのでしょうか。
それは、在庫がないと企業活動を回せないからです。

簡単な例を挙げましょう。ねじやナットなどを作っている会社があるとします。
お客様がねじをくれといった時に製品在庫がないとどうなるでしょうか。

ねじやナットはいわゆる規格品でJISによってメーカー問わず細かく規定されています。
言ってみれば「あるところから買えばよい」のであって、無いと言われれば他を当たるだけのことです。

これでは一向に製品は売れず、企業としてやっていけません。
これは極端な例ですが、製造業では生産活動をスムーズに行うために材料から完成品まで必要なところには在庫を持つことが普通です。
在庫を持つことで工程間の負荷のばらつきを吸収し、需要の変動にも対応できるのです。

これは何もコンピュータ等で管理する以前に「あそこは在庫を置いておかないとマズイことが起きる」という現場の経験則から来ていることも多いと思います。

しかしながら、人の勘と経験だけを頼りに在庫を置いていけば、安心を得られる代わりに工場のいたるところにモノが溢れ、カオス状態になっていくかもしれません。
在庫は増やすのは簡単でも減らすのは難しいのです。
企業活動をスムーズにし利益を出すのが最終目的のはずが、いつの間にか文字通り「お荷物」になってしまわないように管理しなければなりません。

在庫管理の目的

在庫管理の深さ

ひと口に「在庫管理」といっても業種業態によってやるべきことは様々です。在庫管理の視点は大きく分けると現物の管理と量の管理があります。

現物管理とは、在庫の単位を管理することです。「何が」「いくつ」あるのかが最小の単位でしょう。
アパレルの倉庫などはこの単位で十分かもしれません。
大きな工場や倉庫になると「どこに」が増えます。

さらに扱うものによっては「ロット」や「製造日」、「消費期限」など、同じものでもその属性で細かく管理しなければならない場合もあります。

現物管理が細かくなると運用も当然細かくなり、場所別に管理するのであれば移動するたびに管理情報も書換えが必要になりますし、ロットや製造日を持つ場合は通常古い順番に消費しなければなりません。
また消費期限がある場合はそれを過ぎた在庫は使ってはいけません。

このように、扱うモノの運用条件によって現物管理の深さを決める必要があります。
コンピュータシステムで管理する場合は、システムが持つ在庫の単位が現実と合っていることが必要になります。

在庫管理

量の管理とは、在庫の量をコントロールすることです。
1.で述べたように、在庫を持つことは必要でも、適正な量にコントロールしなければなりません。
基本的な考え方は「必要な場所に」「必要なだけ」「必要な時期に」在庫を置くことです。

一般的な繰り返し生産をしているような工場では、工程の様々なところで欠品が起きないような在庫量が必要ですが、逆の視点がないとただ安心を得るためにどんどん在庫は増えていってしまいます。

在庫管理の実践

適正な在庫管理を実践するには、まず受払を適時正確に記録(インプット)することが必要です。
その結果、現場で現物を数えなくとも事務所で調べれば決められた在庫管理の単位で正しい在庫数が分かるようになり、正しい在庫数をもとに将来の受注可能数や生産可能数が算出できるようになります。

コンピュータで資材所要量を計算しようとする場合、在庫数のデータが正しくないとアウトプットの生産計画も正しいものになりません。

ロットや消費期限等を管理する場合は消費の際の順序管理が必要になります。
先入先出と言い、古いものから順番に使うルールです。アナログなやり方としては保管棚の入り口と出口を反対側に配置し、入れた順番に出口からトコロテン式にモノが出るようにする方法があります。

コンピュータでコントロールする場合はバーコードにロット番号を印字しておき、出庫の際の読み取りでチェックする方法があります。

そして在庫量のコントロール、これが一番難しいのですが、場合によっては現場のツールだけで出来ることがあります。
箱2つ分の在庫を用意し、片方の箱が空になったら1箱分だけ在庫を手配します。
手配した分が入荷するまではもう一方の箱の在庫を使います。

そうして交互に空になった箱の分だけ手配を繰り返すやり方をツービン方式(“two bin”※瓶ではない)と言います。
また、かんばん方式もツービンと同じように、かんばんを媒体とし自律して機能する在庫管理方法と言えます。

コンピュータを使う場合はその計算能力を駆使して様々な管理が行えます。
コンピュータは常に在庫数を把握していますから、在庫と受発注の情報をもとにMRP計算したり、在庫が一定量以下になったら自動発注したりすることができます。

マスターデータの維持と日常のインプットを正しく行っていれば在庫のコントロールはコンピュータがやってくれる、まさに計器飛行の状態になるわけです。

また、企業単独ではなく業務的につながりのある企業間で在庫状況や需要情報を共有し、モノの流れを広くとらえることをSCM(サプライチェーンマネジメント)と呼び、見えない不安に備えた安心在庫を削減するために有効な手段とされています。

scm

在庫管理システムについて

経験上、在庫管理のためのコンピュータシステムは2種類のタイプに大別できると思います。

1つ目のタイプは、「物流型」。
現物管理の機能に特化し、物流機能が充実しているタイプでWMS(Warehouse Management System)とも呼ばれ、主な用途は物流センターや倉庫などへの適用です。

このタイプは「モノを動かす」機能(マテリアルハンドリング)は充実しているのですが在庫量のコントロールはしないことが多く、受発注システムと連動して稼働するケースが多いシステムです。

もう1つのタイプは「生産型」。
いわゆる生産管理システムと一体になった、というよりは生産管理システムのサブ機能として在庫管理機能を有するタイプです。

このタイプは生産管理のための在庫管理システムであり在庫量のコントロールも自動で行ってくれますが、現物管理のための機能は最低限であることが多く自動認識技術による受払入力などはオプション扱いであることが殆どです。

生産管理を目的とした場合は在庫コントロール機能が必須なので後者のタイプを基本に選定し、必要に応じてマテハン機能を付加するか、生産管理システムとマテハンシステムの連携等を考えたほうが良いでしょう。

生産管理システム

まとめ

在庫管理をシステム化する場合はまず自社にとっての在庫管理とは何か、達成すべき目的は何かを明確にしたうえで2.で述べた在庫管理の2つの視点からシステム機能のマッチングを評価して設計します。
場合によっては複数のシステムを組み合わせて構築したりSCMを考慮したシステムにすることも検討しましょう。

筆者
プロフィール

星野拓 Takumi Hoshino
経歴:
自動車部品メーカーの設備技術者、物流システムメーカーのSEを経てトーテックアメニティに入社。
生産管理システムのプレSE及びプロジェクトマネージャとして豊富な導入実績を持つ。
第1種情報処理技術者
IoTエキスパート

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